2017 Fiscal Year Annual Research Report
不安症の認知行動療法における「変容プロセス測定・一般法則導出」サイクルの開発
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17J10709
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋 大樹 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 体験の回避 / 生態学的経時的評価法 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,不快な体験を避けようとする試みである「体験の回避」を,日常生活下において測定する方法論を確立するための検討を行なった。とくに,日常生活下での測定を可能にするために,スマートフォンを用いた生態学的経時的評価法(Ecological Momentary Assessment: EMA)の応用可能性を検討し,行動前後における不快体験の変化(随伴性)に焦点を当てた測定を試みた。具体的には,1)EMAを用いた日常生活下における随伴性に基づく体験の回避測定の方法の検討(研究1:早稲田大学人間科学研究掲載),2)研究1で開発した方法の精緻化および従来の測定指標(主観的に評価された体験の回避の程度)との比較(研究2:国際学術雑誌投稿準備中)を実施した。 今年度の研究の結果,EMAを用いて,随伴性に基づいて体験の回避を測定することが可能であることが示唆された。また,測定タイミングについては,不快な体験を自覚してからの時間経過が15分以内であることが望ましいことが明らかにされた(研究1)。さらに,随伴性を基にした測定法と主観的な評価法とでは,体験の回避の異なる側面を捉えている可能性が示唆された。具体的には,随伴性を基にした測定法は体験の回避の短期的な結果を予測し,主観的な測定法は体験の回避の長期的結果を予測する指標であることが示された(研究2)。 以上の研究成果から,EMAを用いた随伴性に基づく体験の回避測定法の枠組みが提示できたと考えられる。また,本研究結果は臨床場面における測定法の選択肢の拡大に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,日常生活下における随伴性に基づく体験の回避の測定法の枠組みを確立し,論文投稿が完了したため。 今後,研究2を投稿するとともに,確立した測定法の有用性に関する検討を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
日常生活測定を安定させる方法および測定行動維持のための手続きについての検討を実施する。 また,確立した測定法の臨床的な有用性に関する研究を実施し,実臨床場面における使用法を体系化する。
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Research Products
(3 results)