2017 Fiscal Year Annual Research Report
Preventing malaria by adjusting amino-acid intake
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17J11392
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
齊木 選射 東京慈恵会医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | マラリア / アミノ酸 / 重症化 / 脳性マラリア / 宿主 / 病原体 / 栄養動態 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はマラリア原虫をモデルとし、宿主・病原体の双方に必須の栄養素の1つであるアミノ酸を中心とする、新規の宿主-病原体相互作用を解明しようとするものである。脳性マラリアのモデルマウスC57BL/6Jを用いたこれまでの解析から、イソロイシン欠損食のマラリア原虫感染前投与により、脳への原虫集積量について変化はないままにマウスの生存率が上昇すること(=脳性マラリアトレランス)を明らかにしている。本年度は、脳性マラリアトレランス機構を明らかにすることを目的の1つとし、申請時に記載した通り、以下の研究計画を並行して実施した。 1.脳性マラリアトレランスについての解析:イソロイシン欠損食の投与によるC57BL/6Jの生存率上昇について、①血液脳関門の輸送能は影響しない、②同食の投与は嗅球におけるマラリア原虫感染に対する炎症反応を抑制する、③同食の投与は脳血管における感染赤血球の集積を予防することなどを明らかにした。以上から、脳性マラリアについて、アミノ酸が介する新規の発症機構が存在する可能性が示唆された。 2.イソロイシン取り込みチャネルPSACを標的とするワクチン開発についての解析:組換えPSAC断片を接種したBalb/cにおいて、末梢血中では感染6日後に原虫の増殖作用に対して抑制作用が認められた。しかし、IVISを用いて生体全体の原虫量を定量したところ、有意な差は認められなかった。また、同断片を接種したC57BL/6Jにおいて生存率上昇効果は認められなかった。 3.アミノグラムの個人差とマラリア原虫増殖性についての解析:熱帯熱マラリア原虫の培養実験系において、日本赤十字社から譲渡された血液製剤について、原虫の増殖性に対して正負に影響する血清を得た。現在、血清アミノグラムと原虫の増殖性との関係性を見出すべく、それらの血清に含まれるアミノ酸の濃度について網羅的な解析を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳性マラリアの発症機構について、アミノ酸が介する新規のマラリア原虫‐宿主相互作用が存在する可能性を見出したことに加え、栄養学的知見に基づくワクチン開発基盤についての研究や、アミノグラムの個人差と熱帯熱マラリア原虫の増殖性についての相関解析のためのスクリーニングも実施済みであることから、当初の期待と同程度に進捗および結果が得られており、順調に研究が進展していると考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた知見を基盤とし、脳性マラリアトレランス機構の解析、肝臓におけるアミノ酸とマラリア原虫との相互作用の解析、蚊のイソロイシン要求性に着目した解析及びアミノグラムの個人差とマラリア原虫の増殖性についての解析などについて、申請時の研究計画に従い並行して遂行する。
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