2019 Fiscal Year Annual Research Report
近世巨大都市における「町」の総合的研究―大坂を対象にして―
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17J11400
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
呉 偉華 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 巨大都市大坂 / 御用宿 / 将軍進発 / 幕末 / 道修町三丁目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、博士論文の執筆に取り組み、博士論文「近世大坂の御用宿と都市社会」を完成した。近世大坂の町人たちは、様々な理由で来坂する武士身分の者たちを一時的に宿泊させることを御用として務めなければならなかった。この御用宿は、町方社会にとって大きな負担であったが、だからこそ町々はその合理化と公平化を求めたのである。本論文では、道修町三丁目文書を主要な素材とし、都市社会史の視点から、18世紀半ばから幕末まで、巨大都市大坂の町方が負担する、この御用宿の実態と、それを担う個別町の運営構造を解明した。その上で、幕末の将軍徳川家茂の「御進発」に伴う御用宿の質的な変化を検討し、一万三〇〇〇人以上の膨大な人員が長期にわたって大坂に滞在することになった膨大な宿負担の全容を明らかにした。また、それを通して、幕末維新期の都市社会の実態を描き出すことを試みた。。 本論文の特徴は次の2点が挙げられる。一つは、史料論・都市社会史研究の視角から都市大坂の御用宿を全面的に考察した点である。道修町三丁目に大量の御用宿関係史料が残されていることに注目し、〈御用宿を解明する〉・〈町の理解を深める〉という双方向からの検討を行った。 もう一つは、幕末期の大坂の社会状況の研究の抱える問題点を克服しようとした点である。都市経済の側面に着目し、経済効果を強調するあまり、進発に伴う膨大な御用宿の負担などで日常生活が脅かされた都市住民への視野を欠いているこれまでの幕末における畿内・大坂の研究に対して、本論文は、将軍進発に伴う幕府役人・軍勢の大規模かつ長期的な御用宿の実現は、将軍の滞坂を可能にした社会的な仕組みの一つであると考え、幕末期における御用宿の特質と、それがもたらした社会的影響を合わせて解明したのである。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)