2017 Fiscal Year Annual Research Report
シカの採食に対する形質の種内変異を考慮した植物群集の形成プロセスの評価
Project/Area Number |
17J11540
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西澤 啓太 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 植物群集 / 群集集合 / 生物多様性 / 機能形質 / 採食 / 撹乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年各地で増加しているシカによる採食がどのように植物群集の集合プロセスを変化させ、多様性に影響しているのかを明らかにすることである。その手法として、植物の機能形質に着目して研究を行っている。機能形質は様々な植物の性質と関係する形質のことをいう。これを用いることで、どのような理由を持って多種の植物が同所的に存在しているのかという多様性の維持形成メカニズムにアプローチすることができる。このように、その有用性から近年広がりを見せている機能形質を用いた群集解析だが、古くから知られ、広く研究もされている同種内に観察される形質の違い(種内変異)の考慮はほとんど進んでいない。そこで、本研究では、植物の形質の種内変異を考慮して、シカが植物群集の集合プロセスに与える影響を検証していく。 調査地には北海道、知床半島の天然林を設定し、野外調査を中心に研究を行った。知床は世界自然遺産であり、古くからの天然の森が残っているにも関わらず、近年シカの増加による森林への影響が問題になっている場所である。初年度である今年は、野外調査による植物群集データの収集、種内変異を考慮した植物形質データの収集を行ってきた。具体的には、防鹿柵の内部と外部のプロット(柵内外それぞれ96個と100個)において、林床の植物群集組成を調査した。これらの全プロットにおいて、土壌特性などの生育環境を評価するデータの収集も行った。また、シカの有無による植物の種内変異を考慮して、柵内外において主要な出現植物種の形質データを収集、分析を行ってきた。これらのデータを用いて、学会発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたデータの収集、解析を進めることができた。また、学会において発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、さらにデータ収集、解析を進め、これまでの成果の論文化を目指す。
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Research Products
(1 results)