2018 Fiscal Year Annual Research Report
X線CT法と粒子法を用いたVOC汚染地盤の浄化機構の解明に関する研究
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17J11642
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
塩田 絵里加 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | Capillary pressure head / マイクロX線CT / CT画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、揮発性有機化合物(以下VOC)による地盤汚染問題を対象として、マイクロX線CTスキャナ(以下、μXCT)を用いて画像解析と数値解析を行い、その成果を新たな地盤浄化シミュレーション開発に応用することを目的とした研究である。 本研究の第一の目標は、μXCT画像を用いてミクロな土の不飽和浸透特性を評価する定量化手法を提案することである。この目標を達成するために、本研究では、μXCT画像解析の結果と土の保水性実験結果が比較検討可能な一連の実験装置を開発し、不飽和浸透特性の評価を行う。第二の目標は、地盤中におけるVOCの汚染・浄化メカニズムを解明し、ミクロ現象をマクロ現象に展開するスケールモデルを提案することである。この目標を達成するために、μXCT画像から得られる土の間隙構造をデータ化し、格子ボルツマン法と有限要素法による流動解析を実施することにより、VOCの流動機構の解明に迫る。 研究期間においては、VOCの地盤内部への挙動を明らかとするために、前年度に使用した保水性試験装置を改良し、地表面からのVOCの浸透を考慮した装置を開発した。この試験装置を用いて、異なる粒状材料(豊浦砂、珪砂5号、ガラスビーズ)に対する水-油の排水過程と吸水過程における毛管圧力の検討を行った。また試験の最中には、地盤内部へのVOC浸透を3次元で可視化し、その挙動について評価するためμX線CTスキャナによる撮影を行った。その結果、使用した試料の粒径が大きくなるにつれて、油が地盤内部に浸透するための毛管圧力は低くなることが確認された。また、撮影されたCT画像を用いて間隙径分布を求めると、油の残留する間隙径は間隙全体の平均間隙径の大きさよりも大きい領域で残留しやすい傾向が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、画像解析を用いた疑似流動シミュレーション法の開発や二相流格子ボルツマン法を用いた流動特性評価を行う予定であったが、水ー油の流動に関係する界面張力や接触角の測定や、ボルツマン法に適用するためのパラメータの変換について検討する必要があるため、追加の試験が必要であることが判明した。一方で、水ー油二相流状態における水分保持特性試験を実施し、地盤内部での油の挙動や残留機構の定量評価を行い、間隙構造データの数値化を行うことができた。よって、画像解析・数値解析を行うためのデータは揃えることができたといえることから、おおむね順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、第一目標と第二目標達成のための研究を遂行する。第一目標に関しては、今年度に取得した水-油の水分特性曲線とその際に撮影されたCT画像を用いて得られた油の残留分布からVOCの残留傾向を得られたため、このデータを用いて二相流の画像シミュレーション法を開発する予定である。第二目標に関しては、フランスLorraine大学との共同研究で開発した格子ボルツマン法を用いた数値解析を用いて、VOCと水の二相流解析を行い、妥当性評価を行う。試験で用いた溶液と土粒子、水との接触角や界面張力を測定し、格子ボルツマン法による流動シミュレーションを行う予定である。
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Research Products
(2 results)