2017 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーによる核と小胞体の分解の分子基盤と生理機能の解明
Project/Area Number |
17J30015
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
持田 啓佑 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | オートファジー / 核 / 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは真核生物に保存された細胞内成分の分解機構である。オートファジーは特定のタンパク質やオルガネラに対しては、レセプタータンパク質を介してそれらを選択的に分解する。最近我々は出芽酵母を用いて、核や小胞体がオートファジーによって選択的に分解されること(ヌクレオファジーおよびERファジー)を明らかにし、それぞれの分解を媒介するレセプターとしてAtg39およびAtg40を同定した。本年度はヌクレオファジーおよびERファジーの分子機構の解析に取り組んだ。 ERファジーの誘導条件においてAtg40がオートファゴソーム形成部位に集積し、多量体化することを明らかにした。またAtg40の集積・多量体化はオートファゴソーム形成と共役して起こること、オートファゴソーム膜上のAtg8との相互作用に依存することなどが明らかとなった。さらにAtg40の多量体化により小胞体膜の変形が引き起こされることが示唆された。これらの結果から、Atg8との相互作用を介したAtg40の集積・多量体化により、オートファゴソームに隔離される小胞体断片の形成が駆動される可能性が示唆された。 ヌクレオファジーの分子機構の解析では、ヌクレオファジーに重要な2つの因子を新たに同定した。また、Atg39を介したヌクレオファジーで分解される核内タンパク質の探索にも取り組んだ。オートファゴソームに隔離される核由来の小胞を粗精製し、この構造体に含まれる主要な核内タンパク質を複数同定することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ERファジーの分子機構について、オートファゴソーム形成とAtg40の多量体化、小胞体膜の変形との関係性が明らかになってきたため。またヌクレオファジーで分解される核内タンパク質を網羅的に同定する手法が確立し、主要な分解基質を決定することが出来たため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ERファジーの分子機構の解析を引き続き行い、Atg40を介した小胞体膜変形のERファジーにおける重要性を明らかにする。またヌクレオファジーへの関与が示唆された因子について、それらの作用機序を明らかにする。同定したヌクレオファジーの主要な分解基質について、それらが選択的に分解されているのか、またその分子機構などを解析する。
|
Research Products
(3 results)