2017 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎を制御するマイクロRNA依存性のDNMT1発現機構の解明
Project/Area Number |
17J40074
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
芳田 祐子 順天堂大学, 環境医学研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / DNMT1 / 樹状細胞 / アトピー性皮膚炎 / ストレス / ケモカインレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎における、DNAメチル化酵素1(DNMT1)の役割を解明することを目的に解析を行った。 われわれ研究グループはこれまでに、アトピー性皮膚炎患者の末梢血単核球において、DNMT1の発現が低いことを報告した。DNMT1はDNAのメチル化に働き、遺伝子発現を制御する。このため、DNMT1の発現低下は、アトピー性皮膚炎発症および病態に関与する特定遺伝子の発現を変動させていることが考えられる。しかしこれまでに、DNMT1のアトピー性皮膚炎における役割については不明な点が多く残されている。そこで本研究は、アトピー性皮膚炎の発症および病態における、DNMT1の重要性を解明するため解析を行った。 アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて解析を行ったところ、アトピー性皮膚炎モデルマウスはコントロールマウスに比べて、皮膚樹状細胞におけるDNMT1発現が優位に低かった。さらに、DNMT1の発現低下は、皮膚樹状細胞の細胞遊走に関与するケモカインレセプターの遺伝子プロモーター領域における低メチル化を引き起こし、このことが遺伝子発現を増強した。 また、ストレスをあたえることで、アトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚樹状細胞のDNMT1発現はさらに低下し、アトピー性皮膚炎の病態は増悪化した。 以上の結果から、アトピー性皮膚炎におけるDNMT1の発現低下は炎症応答に重要な役割を果たす細胞遊走に関与することが示唆された。また、DNMT1の発現低下とアトピー性皮膚炎の病態の増悪化はストレスを与えたマウスで顕著に示されたことから、ストレスがアトピー性皮膚炎を増悪化する機構にDNMT1の発現変動が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNAのメチル化解析が遅れている。メチル化を標識するバイサルファイト処理後の目的遺伝子の増幅量が少なく、またクローニングの効率が低いため、サンプル数を集めるために時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
アトピー性皮膚炎モデルマウスで認められたDNMT1が発現を制御するケモカインレセプターは細胞遊走に重要である。このケモカインレセプターの発現増加が、アトピー性皮膚炎の炎症反応増悪化に関与することが考えられた。この仮説を証明するため、アトピー性皮膚炎モデルマウスに、DNMT1あるいは、ケモカインレセプター欠損樹状細胞を移入し、細胞の動態および皮膚炎の病態の解析を行う。 また、アトピー性皮膚炎モデルマウスは遺伝的に樹状細胞のDNMT1発現が低いことがわかったが、ストレスによりその発現がさらに低下した。このことは、後天的要因により、アトピー性皮膚炎が増悪化する機構の解明につながる可能性があると考えられる。そこで、ストレスによるDNMT1発現機構について解析を行う。具体的には、DNMT1の発現への関与が示唆されているマイクロRNAに着目して解析を行う。
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