2018 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイムイメージングによる植物のリンシグナル応答機構の解明
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17J40113
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菅野 里美 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | リン応答性遺伝子 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、解析対象のリン応答遺伝子(BT1、BT2遺伝子)についてプロモーターGUSラインの観察を進めた。栽培時のリン濃度が高い場合にGUS染色が根全体とくに維管束領域に強くみられ、BT遺伝子のプロモーター領域がリン環境に応答していることを確認した。さらに、GUSの観察からBTの発現部位は、環境中のリン量の違いによって異なることが分かった。特に低リン環境下では、側根周囲の一細胞特異的に遺伝子発現局在が見られたことは予想外の結果であった。今後、この特異的な一細胞に注目して解析を進めていきたいと考えている。 また、昨年度に引き続きbt変異体株の表現系の観察を行った。野生型株と変異体株の間でリン酸濃度(ng / Fresh weight (mg))としての違いがみられないことを確認した。しかし、地上部あたりのリン量を比較するとbt変異体株の方が常に大きく、このことから変異体株のバイオマス量が大きいことが予想された。そのため、地上部の新鮮重を比較したところBTの発現量がこう発現するリン酸条件下において、有意差が見られる結果となった。側根の基部での特異的な発現が見られたことから、根の形態についても今後観察を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度期間のうち9ヶ月間は海外渡航制度を利用してフランス原子力・新エネルギー庁にて研究を進めた。フランス滞在先での研究成果も論文として投稿するのに足る結果が得られている。 また、本年度に行ったリン誘導性のプロモーターBT:GUSラインの観察では、予想外の結果ではあるが側根周囲の一細胞特異的な発現パターンも見られ、今後、さらに発展した研究成果が得られるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
リン誘導性のプロモーターBT:GUSラインの観察では、予想外の結果ではあるが側根周囲の一細胞特異的な発現パターンが見られた。特定の細胞の解析からBT遺伝子の機能についてさらに発展した研究成果が得られるものと期待している。そのため、側根周辺の細胞をマイクロダイセクションにより切り出し、次世代シークエンサーにより解析する事、また、リンに応答する遺伝子である事からこの時のリンの局在に相関があるのかどうかミクロイメージングにより解析する予定である。
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Research Products
(5 results)