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2019 Fiscal Year Annual Research Report

嫌気性微生物におけるプラズマローゲン生合成経路の解明

Research Project

Project/Area Number 17J40167
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

奥田 知生  京都大学, 農学研究科, 特別研究員(RPD)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2021-03-31
Keywordsエタノールアミン型プラズマローゲン / プラズマローゲン生合成経路
Outline of Annual Research Achievements

1. LC/MS/MSによる菌体内プラズマローゲンの定量分析
前年度までに取得したプラズマローゲン生産菌25株に対し、LC/MS/MSによる半定量分析を行った。その結果、見い出されたプラズマローゲンが全てエタノールアミン型プラズマローゲン(PlsEtn)であること、PlsEtn32:1(16:1/16:0)やPlsEtn34:1(16:0/18:1)など上位10種のPlsEtnが全PlsEtnの約90%を占めていること、ヒト体内に含まれるようなsn-2位に多価不飽和脂肪酸が結合したPlsEtnはこれら微生物においては見られないことを明らかにした。
2. 微生物におけるプラズマローゲン生合成経路の解明
哺乳類など高等生物では、プラズマローゲンの特徴であるビニルエーテル結合はΔ1'-不飽和化酵素によって生成されると推測されている。これまでに取得したPlsEtn生産菌のうち、既に全ゲノムが解読されている数株についてホモログ検索を行ったところ、いずれの株のゲノムでもΔ1'-desaturaseホモログは見い出せなかった。
微生物におけるプラズマローゲン生合成経路についてはほとんど解明されていないが、嫌気性微生物においてジアシル型リン脂質のグリセロール骨格がプラズマローゲン合成に利用されている可能性があるとする報告がある。これを検証するため、 PlsEtn生産菌に対してジオレオイル型ホスファチジルエタノールアミン(PE18:1/18:1)を添加し培養を行ったが、非添加時と比較してプラズマローゲン組成に変化は見られなかった。また、これら菌株の菌体内PEとPlsEtnの分子種の分布に相関性が低いことからも、PlsEtn生合成経路がPEを経由しないことが示唆された。
以上、微生物におけるPlsEtn生合成経路が、現在提唱されている仮説とは異なるものである可能性を示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成31年度において、本特別研究員は、過年度に確立した手法を用いてプラズマローゲン生産菌の定量分析を行ない、菌体中に存在するプラズマローゲンの詳細な組成比率を明らかにした。その過程で、微生物プラズマローゲン測定において当分析手法が測定効率および精度の面で実用に堪えうることを実証しており、当該研究課題のより円滑な実施が期待できるのみならず、本特別研究員の所属する研究室における微生物プラズマローゲン研究全体にも影響を与えることが期待できる。さらに、本研究課題のメインとなるプラズマローゲン生合成経路の解明においては、取得した微生物におけるプラズマローゲン生合成経路が、現在提唱されているいずれの経路とも異なる可能性を示唆する結果を得ている。これは微生物プラズマローゲンにおける新たな知見に繋がる端緒として、十分に評価できる成果である。
当該年度は採用第3年目であったが、前年度に出産育児のため約1年間研究を中断しており、研究活動における実質的な経過年としては2年目にあたる。当該年度の進捗は交付申請書に記載した研究計画におおむね沿っており、順調に研究が進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

現在までにおおむね予定通り進捗しているため、今後の推進方策についても特に変更点は無く、申請時の計画に沿って遂行してゆく予定である。具体的には、過年度に得られた結果を足掛りとし、さらにプラズマローゲン生合成経路の解明に取り組む。また、それによって得られた知見を用いて、プラズマローゲンの特異的発酵生産を試みる。
1.プラズマローゲン生産性変異株の取得と解析…過年度までに得られたプラズマローゲン生産菌に変異処理を行ない、生産性に変化の生じた変異株を取得する。変異株における変異点を特定し、プラズマローゲン生合成経路解明の手掛かりとする。
2.プラズマローゲン生合成に関与する酵素遺伝子の探索および機能解析…1.および過年度に得られた知見をもとに、プラズマローゲン生合成に関連する酵素(遺伝子)の候補を絞り込む。大腸菌または酵母を用いた発現系にて、候補遺伝子の機能解析を行い、プラズマローゲン生合成関連酵素を特定する。
3. プラズマローゲン生合成関連酵素遺伝子を用いた分子育種によるプラズマローゲンの発酵生産…上記で特定したプラズマローゲン生合成関連酵素遺伝子を用い、大腸菌、酵母、または嫌気性菌に対して分子育種を行ない、プラズマローゲン生合成経路の構築または強化を試みる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ラビリンチュラ類Aurantiochytrium sp. T7によるω3-ドコサペンタエン酸(DPA)の生産2020

    • Author(s)
      ○奥田知生, 波多野文美、松山恵介、安藤晃規, 小川順
    • Organizer
      日本農芸化学会2020年度大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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