2017 Fiscal Year Research-status Report
A new approach to design of experiments by computational algebraic methods
Project/Area Number |
17K00048
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 敏 神戸大学, 理学研究科, 教授 (90332618)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 実験計画法 / グレブナー基底 / 計算代数 / 最適計画 / 一部実施計画 / マルコフ基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
計算代数手法の統計的実験計画法への応用は、歴史的には、Pistone と Wynn の1996年の論文による、多項式モデルの識別可能性の代数的記述が最初の研究である。本研究課題の遂行にあたり、この研究の正確な意義の理解、特に、2000年前後の論文における代数的な概念と、統計学における概念の関係を明らかにすることが不可欠である。本年、研究代表者は、研究課題である計算代数統計の実験計画法への応用をテーマにした単行本の執筆を依頼されたことを契機に、これらについて改めて学び、単行本にまとめた(2018年8月下旬刊行予定)。その過程において、実験計画法における交絡などの概念の代数幾何的な定式化が明らかになったこと、定式化における係数体についての考察から、有限体係数の場合に周辺分野の研究と合流する可能性が明らかになったこと、計算代数ソフトウェア上での実際の剰余計算の方法を学んだことなどの収穫があり、次の論文へと繋がる手ごたえを得た。 一部実施計画の最適計画に関する結果としては、実験回数が12の2水準計画に関して、3因子交互作用が存在する場合の最適規準の導出と計算機による計画の探索を行った。これは、研究代表者の2000年の論文の設定を拡張した問題に対する結果である。 また、観測値の背後に、構造方程式のような代数方程式で表現される確率構造がある場合の計算代数的な解析手法について、系統樹推定で用いられる代数手法を利用した、新たな解析手法の構築を、現在研究中であり、来年度中に論文としてまとめることを目指している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、単行本の執筆など、当該分野の従来の結果の理解や整理に費やす時間が多く、新しい論文は完成していないが、翌年の論文執筆へと繋がるテーマが発掘できたので、本研究課題の初年度の結果としては、おおむね順調と判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在進行途中のテーマである、有限体係数の場合の識別可能性の代数的記述、および、系統樹推定で用いられる代数手法の実験計画法への適用について、引き続き研究を進める。
|
Causes of Carryover |
当初の予定では、今年度の計算機の購入を計画していたが、ブラウザ上で利用できる代数計算ソフトウェア(Macaulay2 on line)の利用を検討するなど、普及を念頭に置いた若干の軌道修正を行い、計算機の購入は次年度以降に延期した。次年度、研究の遂行に必要となる設備については再度吟味し、必要に応じて購入する。
|