2022 Fiscal Year Research-status Report
A new approach to design of experiments by computational algebraic methods
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17K00048
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 敏 神戸大学, 理学研究科, 教授 (90332618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実験計画法 / グレブナー基底 / イデアル / 一部実施計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、計算代数手法を用いることで、応用統計学の重要な分野の1つである実験計画法における諸問題を解決することを目標としている。実験計画法における重要な問題の1つに、多因子計画の一部実施計画をどのように選ぶか、という問題がある。伝統的な実験計画法の理論は、因子の水準が2水準、3水準の場合のレギュラーな一部実施計画の構成法は整備されている一方で、一般的な設定における研究には未解決な側面が多い。本研究課題では、昨年度までに、計画上の指示関数を多項式関数として構成し、その性質を研究することにより、与えられた性質をもつ一部実施計画を与えられたイデアルの零点として導くための方法論を構築した。また、具体的な計算のための、準素イデアル分解を利用した代数計算の方法を提案し、具体的な計算を行った。今年度は、この方法論を、内側・外側配置の問題に応用した。内側・外側配置は、制御因子と誤差因子の区別がある実験計画法において、初期段階に用いられる計画であり、タグチメソッドの理論体系に組み込まれ、広く用いられている。標準的な方法では、内側配置と外側配置をともに直交表から選択した、直積型の配置が用いられる。本研究では、いずれも2水準の制御因子が6個、誤差因子が3個、という場合を想定して、代数計算により非直積型の計画を求め、その性質を研究した。本研究で得られたのは32個の実験点からなる従来の直積型配置の代わりとして、24個の実験点からなる非直積型配置であり、実験コストの削減という意味で大きな成果である。本研究では、この非直積型配置の性質と、実際のデータ解析の方法を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題で得た理論的な結果を、限定的とはいえ、実際の応用の問題に適用して結果を得たことは大きな成果であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果は、理論と応用の両方の論文に投稿し、いずれも現在、審査中である。また、実務家が多く集まる研究会での報告も予定している。今後は、理論分野の研究を引き続き行うのと並行して、今年度の結果を契機に、より応用分野で重要なテーマの研究が進展することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、多くの学会がオンライン開催となり、旅費の使用額が予定よりも少なくなった。次年度は、コロナ禍が一段落したことで、学会が対面開催に戻り、通常通りの旅費使用が見込まれる。また、現代投稿中の論文が複数あり、その掲載費用も見込まれる。
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