2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation and improvement of the inference based on the ML method for nonregular models
Project/Area Number |
17K00051
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
若木 宏文 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (90210856)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ランダム効果 / 線形混合モデル / 一般化線形混合モデル / ラプラス近似 / 変数選択規準 |
Outline of Annual Research Achievements |
切片項を確率変数とした成長曲線モデルでは尤度関数が制限された母数空間の端点で最大となる場合があり、いわゆる正則条件が成り立たないため、AIC はKullback-Leiblerダイバージェンスに基づくリスクの漸近不偏推定量とならない。本研究では、ラプラスの近似法を被積分関数が積分区間の端点で最大となる場合に拡張することにより、AIC のバイアスの漸近展開を導出し、さらに高次のオーダーまで偏差を修正した修正AIC を導出した。この結果の一般化として、ランダム効果が複数個ある場合の正規線形混合モデルに対して、観測変量の分散共分散行列の最尤推定量を導出した。最尤推定量は、誤差項の分散の推定値が、あるウィシャート行列の固有値によって定まる複数の区間のどれに属するかによって、その表現式が異なるため、AIC のバイアスの評価は困難である。ランダム効果が2個の場合でも、ランダム効果の分散共分散行列のランクが0である場合、1 である場合、2であるが固有値が重根である場合と単根である場合のそれぞれで、AICの偏差が異なる。本研究では、ランクが0または1である場合の漸近バイアスを導出した。得られた漸近バイアスは、非負の固有値の連続関数とはならないため、固有値の推定値を用いたバイアス補正が正当なものであるかどうかの理論的な保障が難しい。一般化線形混合モデルに対しては尤度方程式内に陽に解けない積分表現があるため、実用上はガウス・エルミート法によって積分を近似するか、あるいは、積分のラプラス近似を用いることが多い。本研究では、観測変量の分布が指数分布である場合とポアソン分布である場合において、ラプラス近似を用いた未知母数の推定量の漸近性質を導出した。ランダム効果の分散が真に正である場合には漸近正規性が得られるため、通常のAIC と同様の変数選択を用いることができる。
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