2017 Fiscal Year Research-status Report
Elicitation of Additional Requirements from Existing Development Artifacts by Natural Language Processing
Project/Area Number |
17K00116
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中西 恒夫 福岡大学, 工学部, 教授 (70311785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 賢治 福岡大学, 工学部, 教授 (40167002)
乙武 北斗 福岡大学, 工学部, 助教 (20580179)
古庄 裕貴 福岡大学, 工学部, 助教 (90781807)
田辺 利文 福岡大学, 工学部, 助教 (80330900)
廣重 法道 福岡大学, 工学部, 助教 (30736228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ソフトウェア開発文書 / 自然言語処理 / FMEA / HAZOP |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はFMEA,HAZOPをソフトウェアの異常処理要求の獲得に用いる研究への自然言語処理の導入を試みた。 その手はじめに,形態素解析に用いるMeCab,JUMAN,構文解析に用いるCaboCha,KNP,述語項解析に用いるKNP,ASAを選び,それらのツールのソフトウェア開発における利用方法と課題について調査した。これらのツールは汎用性は高いものの,ソフトウェア開発文書を対象に使用するには領域固有の単語やその用法を登録する必要があることが課題として明らかになった。 もともとのHAZOPは,システムの諸物理量にいくつかのガイドワード(修飾語)を適用し,システムの正常な状態からの逸脱を想起し,その影響を検討し,必要な対策を講じる分析手法である。本研究では,限られたガイドワードを用いるHAZOPとは異なり,開発文書中の事物語や行為語に多様な修飾語を効果的に適用し,システムやその運用環境のさまざまな状況をより広く想起し,それらの改善を試みるフリーガイドワードHAZOPプロセスを提唱している。 フリーガイドワードHAZOPプロセスの前処理として,重文,複文,あるいはその複合形である複雑な構造の文を単文に分割する必要があるが,その手段として日本語の単一化文法を用いる手法を開発した。また,フリーガイドHAZOPプロセスでは,単に品詞等の構文上の制約に基づいて修飾語を選んだのでは,膨大な数の修飾語が選ばれるうえに,それらから想起される状況は検討の価値のないものばかりになる。そこで,国立国語研究所が編纂した分類語彙表増補改訂版データベースとその意味体系を用いることにより,修飾語と被修飾語の意味に基づいた修飾可否性を検討し,修飾語を絞り込む方法を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題のうち,ソフトウェア工学に係る課題を担当する代表者および分担者,ならびに自然言語処理に係る課題を担当する分担者との連携は理想的である。しかしながら,ツール類の開発を行う工数が十分に確保できておらず,理論的な研究は進みつつも,実開発文書や実データに基づく実証的な研究が遅れている。本研究課題で使用するツールの実装は最小限にし,できるだけ既存のツールや辞書をつないで利用する方針としているが,それらの挙動やクセを理解するのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
実開発文書,実データに基づく実証的な研究が遅れがちとなっているため,まずは足回りとなる言語資源やツールの開発を強化したい。平成29年度の研究で用いた国立国語研究所による分類語彙表増補改訂版データベースは,日常生活で用いられる語が中心に収録されており,本研究が対象とするような工学分野の語については十分に収録されていなかったり,整理のあり方が工学分野で常識的に考えられている概念構造とは一致していない部分も多かった。分類語彙表データベースを工学分野への利用に適したかたちに修正し,本研究の基盤的な言語資源として利用できるようにしたい。また,フリーガイドワードHAZOPプロセスでの修飾語の絞り込みでは,同義語集合間の修飾可否性を利用するが,同義語集合間の修飾可否性を表現するマトリックスが必要となるためそれを構築する。 また,当初の計画通り,異常処理要求の洗い出しを図る平成29年度の研究を一般化,発展させ,自然言語で記述された開発文書から派生開発,またはプロダクトライン開発における機能/非機能の要求の候補をインクリメンタルに導出する研究に着手する。そのため,平成30年度は派生開発やプロダクトライン開発におけるプロダクト成長の類型化を行い,そのパターンに基づいてシステム/ソフトウェアの成長にフォーカスした辞書等の言語資源の開発を進めたい。 複雑な構造の文を単文に分割する方法については,平成29年度はアルゴリズムの考案に留まっていたが,平成30年度はその実装を進めたい。
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Causes of Carryover |
参加研究者が多いため旅費が多くかかることを想定していたが,他の用務との兼ね合い等の理由で想定ほどには旅費をしようしなかったこと,ならびに国際会議発表のための海外出張がなかったことが理由である。また,年度越しが認められる基金分の助成金であること,翌年の出張旅費が読めないことから,年度内の無理な執行はしなかった。 平成30年度は,物品費20万円,旅費90万円,人件費・謝金10万円の予算を当初組んでいたが,平成29年度の残額370707円の全額を物品費に回し,ツール開発に必要なソフトウェア等の購入に使用することとする。
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