2017 Fiscal Year Research-status Report
オプティカルフローに基づく自動車走行速度知覚の解明及び予測モデルの構築
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17K00286
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
瀬谷 安弘 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 准教授 (30454721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 博之 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (40278495)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 身体移動速度知覚 / ベクション / 奥行き運動手がかり / 色 / 重心動揺 / 知覚と運動の乖離 |
Outline of Annual Research Achievements |
若齢運転者および高齢運転者におけるオプティカルフローに基づく自動車走行速度知覚の解明およびその予測モデルの構築を目的とし、本年度では若齢者においてオプティカルフローに基づく移動速度知覚や物体運動知覚の心理物理実験に取り組んだ。具体的には、①オプティカルフローに含まれる奥行き運動手がかりが自己運動知覚(ベクション)に及ぼす影響、②オプティカルフローの色彩がベクションに及ぼす影響、③重心動揺計測とベクションとの関係、④上下方向に移動する際に生じるオプティカルフロー内を移動する視覚物体の錯覚的な運動知覚(誘導運動)とその物体への運動行動(ポインティング)との乖離現象に関する研究に取組んだ。 ①については、利用可能な奥行き運動手がかりが増えるほどベクションが強くなり、身体移動速度評定値が大きくなることが明らかになった。②については、単色・複色に関わらず有彩色オプティカルフローは、無彩色オプティカルフローに比べて、ベクションが強くなり、また知覚される身体移動速度を上昇させることが明らかになった。③については、足の可動範囲を基に重心の変動を補正することでベクションの強さと対応することが明らかとなり、身体移動速度知覚の客観的指標となる可能性を示唆する。④については、特定のスポーツ競技(テニス)の熟練は誘導運動を大きく知覚する一方で、ポインティングによってその物体の位置を回答する場合には、錯覚が生じないこと、すなわち、知覚と運動の乖離が生じることを明らかにした。 ③の成果を除き、研究成果については、国内外の学会において発表し、研究の精緻化に努めた。また、①の成果については、現在、国際誌に論文を投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、予定したとおり、走行速度知覚に影響する要因の基礎的研究および重心動揺計による客観的指標の開発に取り組むことができた。また、いくつかの成果については学会発表のみならず、論文として執筆し、投稿またはその準備の段階まで進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の知見に基づき、次年度以降では高齢者の実験にも取り組み、走行速度知覚のモデル化に必要なデータの収集に努める。これに並行し、論文の執筆や学会発表などにも取り組み、成果の公表に努める。
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Causes of Carryover |
学内業務などにより予定していた学会に参加が困難となったなどの理由から、次年度への繰り越しが生じてしまった。次年度では早期の段階で学会と学内業務のスケジュールを確認し、計画的に使用する。 次年度使用については,国際学会参加等の際の英文校正費用として使用する。
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