2017 Fiscal Year Research-status Report
複数の暗号通貨ウォレットで共通に利用できるコールドストレージ機能に関する研究
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17K00445
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森山 真光 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00283953)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 暗号通貨 / ウォレット / コールドストレージ |
Outline of Annual Research Achievements |
暗号通貨ウォレットと秘密鍵を管理するコールドストレージのプロトコルを策定し、それぞれを実装し1対1での通信評価を行った。 ウォレットソフトウェア側とコールドストレージ側のプロトコルについては次のような3ステップを策定した。1) ウォレットソフトウェアは支払先をWebブラウザやQRコードから読み取りトランザクションを作成する。2) ウォレットソフトウェアは端末がインターネットに接続していないこと確認した後にコールドストレージにある秘密鍵でトランザクションの電子署名の要求を送信し、電子署名を受け取る。3) 最後にコールドウォレットに接続しないことを確認した後にインターネットに電子署名されたトランザクションを送信する。 さらに上のプロトコルに、ウォレットソフトウェアとコールドストレージを分離したまま情報交換するエアギャップについても検討した。 策定したプロトコルをウォレットソフトウェアをPCに、コールドストレージをマイコンボードに参照実装し、1対1の通信を試みた。プロトコルを参照実装した1台のPCをWiFi接続し、実際にBitcoinのTestnetと接続し通信量や通信速度を評価した。ウォレットソフトウェアを実装したPCとコールドストレージを実装したマイコンボードの通信には、物理的にUSB/Bluetoothを用いてシリアル通信で実装したシリアル通信方式と、SDカードを用いてエアキャップで実装した記憶媒体方式を準備した。被験者5名に対して1トランザクションが電子署名されるまでの一人当たりの平均時間はUSBシリアル通信方式は74.75秒、Bluetoothシリアル通信方式は77.64秒、記憶媒体媒介方式は77.83秒であった。 今後は記憶媒体方式にNFCを採用し、複数のウォレットソフトウェアからの電子署名の効率化を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウォレットソフトウェア側とコールドストレージ側のプトロコルの策定において、計画では同一敷地内でWiFi接続や有線LANを用いることを想定していた。プトロコルをトランザクションとその電子署名をすることに特化し単純化することで、より安全性の高いシリアル通信方式や記憶媒体方式のみを実装することとした。 またエアギャップのようにウォレットソフトウェア側が秘密鍵に直接触れないようにすることで、ウォレットソフトウェアが暗号通貨のP2Pネットワークと接続の有無を確認する手順も省くことも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の暗号通貨ウォレットとコールドストレージのプロトコルを策定し参照実装する。コールドストレージで多数の秘密鍵を管理するために、階層的決定性ウォレット(BIP0032/BIP0044)を用いる。高速かつ安全に秘密鍵を生成するアルゴリズムを検証する。さらにN個の複数の暗号通貨ウォレットと1個のコールドストレージを誤りなく接続するために、認証や識別の機能をプトコロルに追加し評価する。
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Causes of Carryover |
情報収集および研究成果発表のためにInternational Conference on E-Commerceにおいて参加および発表する計画を立てていた。しかしながら、校務と重なったため参加できなかった分が次年度使用額となった。今年度の早い段階でで国際会議にて発表する予定である。
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