2018 Fiscal Year Research-status Report
複数の暗号通貨ウォレットで共通に利用できるコールドストレージ機能に関する研究
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17K00445
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森山 真光 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00283953)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 暗号通貨 / 秘密鍵 / ウォレット / ブロックチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は同一敷地内に配置された複数の暗号通貨ウォレットにおいて利便性と安全性のバランスのとれた秘密鍵の管理手法を確立することを目的としている。そのために、多数の暗号通貨の秘密鍵を管理することができる階層的決定性ウォレットを用いたコールドストレージを試作した。暗号通貨ウォレットとコールドストレージ間では、取引情報であるトランザクションとその電子署名のデータの送受信が行われる。この通信方式として、USBシリアル通信方式、microSDを用いた記憶媒体媒介体方式、そしてNFCを用いた記憶媒体媒介方式を実装し、操作時間を評価した。エアキャップであるmicroSDとNFCを用いた記憶媒体媒介方式では、NFCの平均操作時間がmicroSDの平均操作時間の68%となることを確認した。また暗号通貨の秘密鍵管理の教育用に、秘密鍵をペーパーウォレットに分離可能な暗号通貨ウォレットを開発した。開発した暗号通貨ウォレットは決済後に秘密鍵を消去することが選択できるものである。この暗号通貨ウォレットを用いて学内飲食店2店舗でQRコード決済ができる仕組みを構築した。この仕組みについて、学生53名に対して1週間の利用実験を行った。結果、決済後に毎回秘密鍵を消去したのは53%、全く秘密鍵を消去しなかったのは32%であった。決済後に秘密鍵を消去した場合、次の決済で改めて秘密鍵を読み込む必要がある。改めて秘密鍵を読み込む操作時間は、平均で4.6秒であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
暗号通貨のBitcoinについてはコールドストレージの試作は進んでいる。同様の暗号方式を利用しているEhtereumへの拡張も可能であると考えている。しかしながら、異なる暗号方式を持つNEMなどについて拡張する場合は、より抽象化された設計が必要である。Eコマースサービスへの適用と検証については、暗号通貨では少額な決済が可能であるため少額決済に適した取引方法を検討している。ブロックチェーン教育への適用と検証については、BitcoinやEthereumといった主要な暗号通貨でプライベートなブロックチェーンの構築が容易になったことからプライベートなブロックチェーンを用いた演習を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
暗号通貨のコールドウォレットについては、より利便性と安全性のバランスのとれた秘密鍵の管理手法を確立することを目指す。特に接続の安全性を高めるために暗号通信のソフトウェア実装としてTLS/JWT/XML暗号署名/SOAP(WS-Security)を適用し評価する。Eコマースサービスへの適用にについては、事前に商品を注文し決済も済ませた後に商品と取りに行くモバイルオーダ&ペイへの仕組みの適用を検討する。ブロックチェーン教育への適用については、プライベートブロックチェーンと専用の暗号通貨ウォレットを用いた教材を作成する予定です。
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Causes of Carryover |
国際会議での発表が採録されなかったために次年度使用額が生じた。発生した次年度使用額は今年度に改めて国際会議に発表するために用いる計画である。
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