2018 Fiscal Year Research-status Report
VRと萌えキャラクタを連動させた教育用コンテンツの研究
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17K00494
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
岡嶋 裕史 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (10350547)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 萌え / VR / VR接触率 / 教育自動化 / 擬人化教育手法 / 没入感 / 情報教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者は本研究を行う以前より、IT分野の新規学習者の減少に問題意識を持ち、当該層をターゲットとする初学者用書籍の執筆を重ねてまいりました。VRを用いた教材を開発できる基本的な知見と開発環境、技術的実績は蓄積できております。 VR教材は未だ商用投入したことがないため、売上などの数値を示すことができませんが、VR教材を成立させるため重要な要素である「萌え」については、実際に商品として市場に問うた実績があります。研究成果の出版物の売上情報、SNSでの「つぶやき」で最も反応数が大きかったのは、アニメ、ライトノベルなどの萌え文化を用いて、学生層に訴求したものでした。少なくとも、一般的な書籍のスタイルでまったくリーチしなかった層に、萌えの手法を適用することで教材を届けられることが実証されており、本研究においてもこの成果を活用いたします。 VRキャラクタの制作には多額の費用を必要とするため、キャラクタの設定や作画から新規に開発していては期間内・予算内で研究を完了することは困難です。そのため、研究計画の段階から予定していたとおり、既存の研究で培ってきた教育用の萌えキャラクタをベースとし、そこに新たにVR用の設定や作画を付与して、VRキャラクタモデルを作成いたしました。契約形態や産学連携の座組を見直すことで、新規のキャラクタを生成することにも成功いたしました。 その結果、昨年度懸念しておりました、一部の利用者に飽きられてしまうリスクを回避しつつ、堅実に研究資金を執行することができました。萌え要素を内包するコンテンツの評価は、そのかなりの部分をキャラクタに対する印象が占めることがわかっておりますので、キャラクタ制作のフェーズには、リソースを惜しまずに投入いたしました。その効果が現れ、訴求性の高いキャラクタの実装に成功いたしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①VR を用いた教育用コンテンツの制作と、それを用いて生徒・学生に授業を行うことにより、②一般的な教材との教育効果、費用対効果の差異測定を行います。本年度は準備してきたキャラクタと世界観をVRコンテンツに実装し、いくつかのパターンの中から、(a)教育効果、(b)コスト、(c)ユーザビリティに最も優れたモデルを抽出いたします。 民間事業者と積極的な教育連携を行うことで、サンプルとなる教育サービス利用者を安価かつ大量に、実際の利用局面に準じた形で募集・運用することができました。集まってくださった利用者に対して、本来は計画していなかったプレテストを行う機会を設けられるほどの余裕が生じました。コンテンツの研究成果とは別に、こうした産学連携のベストプラクティスについても、最終的には成果にまとめたいと考えています。 本年度は、昨年度に引き続きVirtual YouTuberなどの社会現象が同時多発的に発生いたしました。VRキャラクタはYouTuberのアバターとしても利用することができるため、YouTuberのコミュニティにコミットメントし、キャラクタを使ってもらいました。この実験は本年度も継続する予定で、SHOWROOMなどの業界最大手の企業体が連携研究の環境を整えてくれました。 プレテストにおける結果を見ても、VRモデルの教育効果、とりわけ高い没入感で集中力を維持させる効能は高いことがわかってきておりますが、コンテンツ作成費用が大きく、すべてを教育機関が賄うことは不可能です。いかにYouTuberなどのクリエイタの力を借り、二次創作意欲を刺激するかが、研究のための研究で終わらず、社会への実装を行っていくに際して重要です。この点において、教育用のVRコンテンツへの最適化とは異なるアプローチが必要となりますが、有用な知見が得られる可能性が高く、研究を継続いたします。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の教育コンテンツの構築ですが、せっかく汎用性が高いVRキャラクタの実装に成功したので、最大限の成果を得るために、当初より予定していたVRコンテンツに加え、小さな改変で活用が可能な3DCGムービー、オーディオドラマ、2.5次元舞台劇、朗読などの複数のコンテンツを作成し、その効果を比較いたします。 メインのVRコンテンツにつきましては、2019年度も引き続き市場の動向を睨みつつ、研究のための研究にならないよう、慎重に対応機器を選定しコンテンツ制作を完成させたいと考えています。場合によっては、プラットフォームの変更にも対応できるよう、低解像度のモデルも準備いたしました。これにより実装コストを下げる副次的な効果もありました。 産学連携の試みについては、これまでの出版社群に加え、大日本印刷、SHOWROOMなどの新旧メディアの幅広い協力体制を築くことができました。萌え、VR、3DCG、ジャパニメーションといったキーワードで、何らかの目的を達成したいと考える事業者の数は増加しており、その意味でも意義のある研究、社会貢献できる可能性の高い研究であると判断しております。多数の利用者に、多様なメディア、多様なスクリーンで使ってもらって、初めてリーチする、あるいはそのデータを取得することによって精度が高まる種類の研究であるため、研究者個人でお願いすることができる被験者では量的にも質的にも十分ではありあません。メディア企業に連携していただくことが、有効な研究を行うための大きな要素となるため、企業に負担をかけすぎず継続的な協力関係を維持できる枠組みの構築と、連携に際しての契約雛形も、この研究な成果物として提出いたします。互いの誤解による研究の破綻が起こらないよう、契約や申し合わせの作成には、大学の研究助成課に参加いただき、第三者の厳しい視点からチェックをいただいており、雛形の完成に至りました。
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Causes of Carryover |
研究の主たる目的であるVRコンテンツ制作の開発作業を実施いたしましたが、他の研究成果の応用や、協力企業のご厚意で開発前段階の工程をかなり無償化することができました。 したがいまして、本研究費を主目的であるVRコンテンツ、VR教材の研究にさらに集中することができました。この研究は本年度に実施いたしますので、次年度使用額が発生いたしました。
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Research Products
(3 results)