2017 Fiscal Year Research-status Report
Soil carbon modeling coupled with recovery process of forest resources in Japan
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17K00532
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
鳥山 淳平 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (00582743)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 温室効果ガス / 土壌炭素循環モデル / 森林土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌炭素は陸域生態系でもっとも大きい炭素貯留プールである。同時に、土壌炭素は温室効果ガスである二酸化炭素の潜在的な排出源でもある。そのため、農耕地や森林において、土壌の炭素吸収・排出量(以後、吸排出量)を高い精度で推定する科学ツールが求められてきた。本研究は、日本の森林土壌の吸排出量を適切に表現する新たな土壌炭素循環モデルを構築するため、生体(ここでは樹木をさす)のプロセスを組み込んだ新たな土壌炭素循環モデルを構築する。特に、過去数十年で資源量が大きく回復した、人工林を主なターゲットとする。初年度である今年度は、土壌炭素循環モデルのための生体サブモデルと土壌サブモデルの検討を行った。生体サブモデルは、Biome-BGC(米国)を採用した。土壌サブモデルは、Biome-BGC に元々備わっているサブモデルに加え、Yasso07(フィンランド)とCENTURY(米国)を検討した。 Biome-BGC に元々備わっている土壌サブモデルについては、ベイジアンキャリブレーションを利用したパラメータの較正を行った。較正に先立ちBiome-BGCのコードを改変し、葉と根の代謝回転速度(year^-1)を分離した。較正に利用した観測データは、熊本県の鹿北流域試験地のスギ人工林において、2001-2003年に取得された月別の土壌呼吸フラックスである。較正前(デフォルトパラメータ)のモデルでは、根呼吸速度の高さに起因する、高い土壌呼吸フラックスが出力されたが、較正により根の代謝回転速度が修正され、モデル出力を観測値に近づけることができた。Yasso07はフィンランドの研究協力者とコンタクトをとり、本研究課題の遂行に必要なソースコードを入手するとともに、後継モデルのYasso15についても情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年度は、モデリングに必要な環境(ワークステーション)を整備した。モデルの較正手法であるベイジアンキャリブレーションの有効性を確認した。さらに、次年度にモデルの検証をおこなうための試験地選定(熊本県熊本市)を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌炭素循環モデルの較正作業を継続する。土壌呼吸フラックス以外の観測データも利用し、土壌有機物の分解係数等のパラメータを絞り込む。次に、リターフォールの不確実性を抑えるため、Biome-BGC以外の生体モデルとの相互比較を行う。比較モデルとしてBASFOR(英国)を検討する。さらに、土壌炭素循環モデルの出力を検証するため、スギ植栽地の環境データ(土壌水分、地温等)を取得する。そのための環境計測機器を購入する。
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Causes of Carryover |
2017年の秋に予定していた海外出張を2018年の春に振り替えたため、旅費の次年度使用が生じた。次年度はモデル出力の検証のための環境計測機器(土壌水分、地温センサ等)を購入する。
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