2017 Fiscal Year Research-status Report
人為起源粒子(PM1)の高時間分解測定と北東アジアの実態解明
Project/Area Number |
17K00535
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
米持 真一 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 担当部長 (90415373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PM1 / 1時間値 / 人為起源 / 自然起源 |
Outline of Annual Research Achievements |
成果の具体的内容:PM2.5の発生源には、人為起源粒子のほか、粒径が2.5µmより大きい、粗大粒子の一部が含まれる。これらの多くは土壌や海塩粒子などの自然起源粒子であるため、PM1を計測した場合には、人為起源に特化した評価が可能となる。我々は2005年から週単位のPM1通年測定を行い、年間のPM1/PM2.5は約8割程度であることが分かったが、週単位では0.3~1.0と大きな差が見られた。そこで本研究では、PM1の1時間測定を行い、人為起源粒子の濃度変動を明らかにすることを目的とする。 2017年度は環境科学国際センターにて、PM1の1時間値の計測が可能なPM714を稼働させ、PM2.5と併せて濃度変動を詳しく調べた。その結果PM1の年間平均値は7.7ug/m3、PM2.5-1は3.7ug/m3であった。PM1濃度は11月、12月に上昇し、PM2.5-1は4月、5月にやや上昇し、上昇する月が異なっていた。PM1/PM2.5は通常0.7~0.8前後で推移したが、4月8日夜~4月9日昼にPM1は上昇せずに、PM2.5-1のみが38ug/m3まで上昇する現象が見られた。この時のPM1/PM2.5は0.1前後まで低下した。これはPM2.5が自然起源粒子によって上昇した事例であった。また、PM1/PM2.5は日中に上昇し、夜間に低下する日内変動が見られることが分かった。(u:マイクロ) 意義・重要性:PM1とPM2.5の1時間値並行計測は国内でもほとんど例が無い。本成果は、2.5の濃度上昇が自然起源粒子のみによっても起こることを示す例である。今後人為発生源の対策が進むと、人為起源粒子に対して、自然起源粒子による濃度上昇が相対的に増える可能性があるがこれらの対策は難しい。また、夜間にPM1/PM2.5が低下する現象は、PM2.5の生成メカニズムに起因する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PM1の1時間値計測が可能なPM714を先行して設置していたことから、年度当初より測定値が得られた。また、本機の計測値は湿度等により補正を行う必要があるが、並行測定しているPM2.5についてはデフォルトでは未補正値が出力されてしまう。メーカーにより提供された補正式により補正することができ、妥当な測定値が得られたことが順調な研究の進行に繋がった。
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Strategy for Future Research Activity |
PM1/PM2.5の比率が大きく変化した事例を季節別に抽出し、その特性を解明する。同時に日内変動についても季節別に整理するとともに、典型的な事例を抽出して、捕集されたスポットの化学分析を試みる。 今年度は富士山頂におけるPM1計測を試みる、同時に中国、韓国等でもPM1の実態を明らかにする。
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Causes of Carryover |
PM1分級用サイクロンを2台購入した際、当初の見積金額より安く購入することができたため。
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