2019 Fiscal Year Research-status Report
人為起源粒子(PM1)の高時間分解測定と北東アジアの実態解明
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17K00535
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
米持 真一 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 担当部長 (90415373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PM1 / PM1/PM2.5 / PM2.5-1 / 自然起源 / 人為起源 / As/V比 / 富士山頂 |
Outline of Annual Research Achievements |
埼玉県加須市に設置したPM714のテープろ紙を利用し、PM1/PM2.5に変動が見られた期間のPM1とPM2.5-1中無機元素分析を試みた。ろ紙は試料量を確保するため、2スポット(4時間捕集相当)を1試料とした。2017年5月11日18時~12日はPM2.5が平均18.9μg/m3(11~31μg/m3)であり、PM1/PM2.5比は5月12日0時~6時に0.2台に低下した。その後9時から上昇し、12時以降は0.7以上に上昇した。風向は12日12時頃まで北系、その後南系であった。 比が低下した時間はPM2.5-1のAl, Ca, Ti, Na, Znが増加したが、9時~12時はPM1のV, Cd, Pb, Crが増加した。前者は自然起源元素であるのに対し、後者は人為起源元素である。測定値地点近傍に大規模な発生源が無いため、夜間から早朝のPM2.5-1増加は自然起源粒子の増加、日中のPM1増加は都市部からの輸送によるものと説明できる。 夏季に富士山頂でPM1の昼夜別採取を23日間行った。捕集はPTFEろ紙を用い、6時と18時に交換した12時間捕集を行った。平均PM1濃度は日中3.2μg/m3、夜間2.3μg/m3であった。土壌粒子の指標であるAlはPM1の方がPM2.5と比べて低濃度であったが、PM1中のAlにも日内変動が見られ、富士山のような巻き上げ粒子の多い環境では、PM1でも完全には自然起源粒子を除外できてはいなかった。石炭燃焼の指標としてAsに着目し、As/V比の調べると、7月28日~30日に0.61~0.94に上昇、8月3日夜間は2.5と高値となった。7月下旬は、7月27日に台風6号の影響が考えられた、8月3日夜間は後方流跡線で大陸からの気塊輸送が示唆された。PM1を対象とした昼夜別採取により、夜間でよりクリアに大陸方面からの長距離輸送の影響をとらえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内での高時間分解計測と実態把握については概ね順調であるが、東アジアの実態解明部分は、2020年1月に中国上海および韓国済州島においてPM1の採取を行う予定であったが、新型コロナウィルス拡散のため、実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長を申請し、承認されたが、中国、韓国での試料採取は今後も再開できるか分からない。また、2020年度夏季の富士山頂でのPM1観測も不透明な状況である。そこで2020年は、PM714で採取した複数期間のテープろ紙の無機元素分析を行い、PM1/PM2.5比の低下した期間の特徴を詳しく調べる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大に伴う、中国、韓国で採取した試料の入手及び分析ができなくなったため。
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