2017 Fiscal Year Research-status Report
アセチルコリン作動系農薬による生体防御反応の誘導や攪乱作用に着目した有害性の解析
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17K00547
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川部 勤 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20378219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 充代子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10509665)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アセチルコリン作動系農薬 / ネオニコチノイド系農薬 / 有機リン系農薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
農薬の毒性は害虫に特異的ではなく、近年主流のアセチルコリン作動系農薬もヒトや生態系への影響が懸念されている。農薬が生体に及ぼす影響は多岐にわたり、神経系への毒性だけでは正確に有害性を検討することは困難である。本研究では農薬による生体防御反応の誘導能および免疫応答の攪乱作用に着目し、比較的安全とされるネオニコチノイド系農薬を含めアセチルコリン作動系農薬の影響を生体側から解明する。平成29年度は生体防御反応の誘導能を中心に解析を行った。ストレス応答系としてHO-1の発現、異物代謝系としてオートファジーの誘導(LC3-IIの誘導およびp62の発現)を評価することにより生体防御反応の誘導能の解析を行った。 農薬は有機リン系農薬のダイアジノンおよびネオニコチノイド系農薬のアセタミプリドを使用した。細胞はマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いた。ダイアジノンはRAW264.7細胞においてストレス応答系のHO-1および異物代謝系のオートファジーを強く誘導することが明らかとなった。一方、アセタミプリドについてはHO-1の誘導はほとんど認められなかったが、オートファジーについてはダイアジノンと比較すると非常に弱いものの、オートファジーの誘導が認められた。 以上の結果より、同じアセチルコリン作動系農薬であっても生体防御反応の誘導能の程度が異なり、異なる作用機序が存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、アセチルコリン作動系農薬が生体防御反応の誘導に及ばす影響について検討できた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はアセチルコリン作動系農薬が免疫応答の撹乱作用に及ぼす影響を中心に解析を行う。細胞は生体防御反応の誘導能を検討したマクロファージを中心に使用し、アセチルコリン作動系農薬がマクロファージの活性化、あるいは活性化マクロファージに及ぼす影響について詳細に検討する。
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Research Products
(15 results)