2018 Fiscal Year Research-status Report
アセチルコリン作動系農薬による生体防御反応の誘導や攪乱作用に着目した有害性の解析
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17K00547
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川部 勤 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20378219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 充代子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10509665)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アセチルコリン作動系農薬 / アセタミプリド / 肺胞マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では農薬による生体防御反応の誘導能や免疫応答の攪乱作用を明らかにすることを目的としている。平成30年度は農薬による免疫応答の攪乱作用を検討するため、マクロファージの機能に対するアセチルコリン作動系農薬の効果について検討した。アセチルコリン作動系農薬にはネオニコチノイド系農薬のアセタミプリドを使用した。吸入曝露がアセタミプリドの曝露経路のひとつであることからマウス肺胞マクロファージ細胞株を使用し、インフルエンザなどのウイルス感染時を想定してToll-like receptor 7 (TLR7)を介した炎症惹起下においてアセタミプリドがサイトカイン産生、貪食能、細胞表面抗原の発現など肺胞マクロファージの機能に及ぼす効果について検討した。その結果、アセタミプリドはTLR7のリガンドであるイミキモドにより誘導されたTNF-αおよびIL-6のmRNA発現を低下させた。一方、IL-1βの発現はアセタミプリドによる修飾をほとんど受けなかった。貪食能については、アセタミプリドは定常状態での貪食に影響を及ぼさなかったが、イミキモド刺激によって誘導された貪食を軽減させた。細胞表面分子はCD40、CD80、CD86 やMHCクラスII (MHC-II)分子の発現について検討し、アセタミプリドはこれらの分子の発現にほとんど影響を及ぼさないことが明らかとなった。以上の結果より、アセタミプリドはヒトの肺での生体防御反応に影響を及ぼす可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、アセチルコリン作動系農薬による免疫応答の撹乱作用についてマクロファージを中心とした検討ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は平成30年度で明らかとなったアセタミプリドによる肺胞マクロファージの活性化修飾機構について検討を行う。また、他のアセチルコリン作動系農薬についても同様に検討する。
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Research Products
(13 results)