2017 Fiscal Year Research-status Report
下水処理水に残留する医薬品等による魚類の感染症誘発に対するリスク評価
Project/Area Number |
17K00583
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
仲山 慶 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫毒性 / 医薬品 / 下水処理水 / コイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,魚類を対象として感染症の発症を主要なエンドポイントとした免疫毒性評価手法を確立し,下水処理水中に含まれる医薬品等の感染症の発症リスクへの寄与を明らかにすることを目的としている。 平成29年度は,免疫毒性の評価対象物質をスクリーニングするために,愛媛県内の下水処理場の処理水を隔週で採取し,81種類の医薬品および生活関連化学物質(PPCPs)を通年モニタリングした。その結果,解熱鎮痛消炎剤や高脂血症治療剤,潰瘍治療剤,抗ヒスタミン剤,一部の抗菌剤が高頻度かつ比較的高濃度で検出された。 また,先の若手研究(B)(26740030)で構築した感染・暴露試験法のスループットを向上させるため,先の試験では魚体重10g程度のコイを用いていたところを,1 g程度のコイを使用し,試験のスモールスケール化を図った。1 mg/Lのデキサメタゾンの存在下で,コイに3.8 × 10の2乗~4乗CFU/mLのAeromonas salmonicidaを浸漬感染させたところ,感染後17日目に30~40%の個体が死亡した。一方,感染のみの非暴露区では0~10%のへい死率となり,本試験で使用したサイズのコイであっても,デキサメタゾンの免疫抑制作用が検出可能であった。試験法の改良により,試験水量が従来法の40%程度で試験の実施が可能となった。 以上の結果から,スモールスケール化した試験系で,比較的検出濃度の高かった非ステロイド系抗炎症薬の免疫毒性評価を実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下水処理水中のPPCPsのモニタリングおよび試験系の改善は当初予定通り実施し,試験のスループット向上と評価対象物質の絞り込みができた。その一方で,定量的PCR法によるA. salmonicidaの検出に関しては,使用した既報のプライマーの特異性が想定より低かったため,さらなる改善が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
感染試験に用いるA. salmonicidaの定量法を確立させる。使用するPCR用プライマーはすでに準備できている。また,先述の通り,主に下水処理水から検出されるPPCPsを試験の対象とするが,従来の感染実験を併用しない免疫毒性評価法にて免疫毒性を有すると評価された化合物も本試験法で再評価し,感染症の発症を誘発するか否かを明らかにしたい。本研究を通じて感染実験を併用した免疫毒性評価手法を確立するとともに,従来法での免疫毒性評価の妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
コイを用いたin vivo試験に先立って,細菌の定量法を確立する必要があるため,平成29年度に実施予定であった感染・暴露実験を次年度に先送りした。次年度使用額は,先送りした試験に使用する試験魚および試験関連消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)