2017 Fiscal Year Research-status Report
活性化処理したフライアッシュのコンクリートへの混和材への利用に関する研究
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17K00602
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鵜澤 正美 日本大学, 生産工学部, 教授 (80571299)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フライアッシュ / ガラス質 / リートベルト / 相関性 / 活性度指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
フライアッシュはポゾラン活性をもつ混和材ではあるが、高炉スラグに比べてセメント中での反応が遅いため、主にダムなど発熱を抑える混和材として使われている。しかしフライアッシュも適切な活性化処理を行えば、高炉スラグと同等の活性を持つことが期待できる。これが実現すれば、昨今の電力供給におけるフライアッシュの増加に対して、最終処分の減少、新しい混和材としての利用、諸外国への輸出も可能となる。という目標に対し、平成29年度は、J-Powerの協力を得て7種類のフライアッシュを入手した。フライアッシュに含まれる石英やムライト、マグネタイトの結晶性鉱物を太平洋コンサルタントに外注し蛍光X線分析で定量し、反応に寄与するガラス質組成を算出した。これをJISに基づき圧縮強度を測定し活性化指数を評価した。この活性化指数とガラス質組成との相関を見つけることが、平成29年度の目的である。その結果、ガラス質組成の化学成分をモル比で考えること、酸素と陽イオンとをモル比で計算しO/Si比を計算するとやや傾向のある正の相関がみられた。またこの係数とガラス質の割合を組み合わせるとより相関係数が上がった。さらにこれにJ-Powerより提供を受けた粒度分布データを組み合わせるとより相関係数が上がり、最大で0.5程度のR2が得られた。この結果より、フライアッシュの反応性は全成分分析値でなくガラス質の組成に左右されること、またガラス質の割合にも関与し、さらに粒度分布にも影響することが判明した。この成果はこれまでにない新しい知見であり、現在論文にまとめているところである。また平成30年度の活性化処理による活性化指数の影響に対しても、基本的な知見として大いに役立つことが期待される。順調に進捗している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
i).各種のFA の収集とガラス質の化学組成の決定 FAの組成は石炭の種類、燃焼方法、石炭の混合割合で変化し、その化学組成は多岐にわたる。この化学組成を蛍光X 線分析で定量した。さらに粉末X 線回折-リートベルト法で結晶質成分である石英とムライトの定量をおこない、ガラス質成分を決定した。ここで重要なことは、ガラス質成分のO/Si モル比、つまり化学成分のSiO2 量と全成分の酸素量のモル比がバランスよく得られているかの判断である。O/Si 比はガラス質の連鎖を大まかに見積もることができる。化学成分上異なっていてもガラス質としては同じような成分である場合もあるため、できるだけ多くのFA を入手する必要がある。電源開発社から7サンプルのFAを入手し結晶成分とガラス質成分の分析を完了した。なお、蛍光X 線分析と粉末X 線回折-リートベルト法は太平洋コンサルタント社への外注分析した。 ii).FA 混入モルタルの作製と圧縮強度の測定、FA ガラス質との相関関係の把握 上記i)で実験に供するFA が決定させた。その後、JIS5201 に準拠してモルタル供試体を作製した。FA の配合はセメント量の25%でセメントに置換した。水中養生180 日までの材令について強度測定を行なった。強度増進はセメントの水和とFA のポゾラン反応によるものであり、強度増進がどちらに起因するのかは、グラフ化することで容易に判断できる。これで得られたFA データから、FA のガラス質成分の化学組成に対して、x SiO2+y Al2O3+a CaO +b MgO +c Na2O+d K2O を横軸に、縦軸に強度を示し、その相関が一次関数の相関係数R が最も高い係数(x,y,a,b,c,d)を決定した。 という当初の目標に対して概ね実験や見当が終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
iii).飽和Ca(OH)2 溶液による最適処理時間、処理温度の決定 FA を飽和Ca(OH)2 溶液に浸し、活性化処理を行う。処理温度は20℃と65℃とする。65℃はコンクリート二次製品製造時の蒸気養生槽の温度であるため、実用化を意識して取り上げた。養生時間は3、24、48 時間とする。攪拌しながら加温することで、処理が均一となる。処理したFA は吸引ろ過後乾燥し、ii)と同様にモルタルを作製し強度を測定する。添加量や材令は同様とする。考察のポイントとしては、強度増進が早まっているか、成分、特にアルカリ分の多いFA で顕著か判定する。 iv).コンクリートの作製、生コンスラッジ水での処理の可能性把握 iii)の実験で得られた最適処理後のFA 条件において、日本ヒューム社で生コンスラッジ水での処理およびコンクリート製造実験を行う。コンクリートは65℃の蒸気養生にて製品を試製造してもらう。セメントへの置換率をii)と同様にして配合し、強度や製造時のコメントを日本ヒューム社からヒヤリングを受け、実用上の課題を抽出・整理し本研究に役立てる。
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Causes of Carryover |
次年度消耗品として使用予定。装置がやや安価に買えたため予算残となった、
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