2017 Fiscal Year Research-status Report
さらなる脅威、ブラジルチドメグサとナガエツルノゲイトウの拡大シナリオの解明と対策
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17K00647
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
皆川 朋子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (10355828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼倉 徳雄 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50403936)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 特定外来生物 / ブラジルチドメグサ / ナガエツルノゲイトウ / ティラピア / 分布拡大要因 / 外来種対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定外来生物ブラジルチドメグサ及びナガエツルノゲイトウの予防的対策・早期駆除に資する知見を得るため、菊地川を対象にそれらの分布特性を人為的改変や物理場との関連を含め解明するとともに、これらが生物多様性に与える影響を評価した。その結果以下を明らかにした。 ①菊池川における水際の植物相をTWINSPAN分析で分類した結果、セグメントごとに区分され、ブラジルチドメグサはセグメント1に、ナガエツルノゲイトウはセグメント2-1に特徴的に分布していることが明らかになった。 ②ブラジルチドメグサの分布に関しては群落数と堰の数には関係性がみられ、堰による湛水域が供給原となっている可能性が示唆された。さらに,河道においては砂州尻の水際域に分布している頻度が高いことから、駆除を考える際に優先的に駆除すべき場所であることが示された。 ③ナガエツルノゲイトウの生育要因について現地調査で得たデータを用いて一般化線形モデル(GLM)により生育モデルを構築した結果、要因として摩擦速度、土砂含水率、河岸勾配が選択され、摩擦速度が小さく河岸勾配が緩い水際でナガエツルノゲイトウが生育しやすいことが示された。 ④生物多様性への影響を評価した結果、ナガエツルノゲイトウは、在来種だけでなくブラジルチドメグサやミズヒマワリなど特定外来生物との競合にも優位に立ち,生物多様性を脅かす非常に危険な種であることが定量的に示唆された. 以上のように概ねこれら2種の拡大シナリオと在来種への影響シナリオを得ることができた。次年度以降は魚類(外来種)との関係性を含め評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
①H29に得られた拡大シナリオと在来種への影響シナリオを構築するための分布拡大モデルについて、H29で抽出された課題を解明するための補足的調査を実施する。また、シナリオを検証するための実験を実施する。実験は外来植生-水温、溶存酸素などの水域環境要因-外来魚-在来魚との相互関係に関する内容を想定している。 ②これまでに得られた結果を統合し、想定される拡大シナリオ、在来種への影響シナリオについて、生物分布モデルと水理シミュレーションを組み合わせ構築された分布拡大予測モデルを用い感度分析等を行うことにより、分布拡大の負の影響を生じさせる要因を特定する。これをともに、在来種への影響についても定量的に評価する。 ただし、H29冬期の寒波の影響により、例年にはみられない対象植物の枯死が確認されていることから、実験材料の入手が一部困難になる、もしくは実験が遅延することが予想されるが、適切に対処していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
ティラピア3種の環境DNA調査に用いるプライマー作成を予定していたが、交雑が判明したためこれを検討するために時間を要した。最終的には方針を変更しH30年度において別の方法で対象するための予算として執行する予定である。
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