2018 Fiscal Year Research-status Report
さらなる脅威、ブラジルチドメグサとナガエツルノゲイトウの拡大シナリオの解明と対策
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17K00647
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
皆川 朋子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (10355828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼倉 徳雄 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50403936)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外来生物 / ナガエツルノゲイトウ / ブラジルチドメグ / ティラピア / 対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
江津湖にはヒラモ、キタミソウなどの希少植物等が生育し日本の重要湿地500にも選定されている。しかしブラジルチドメグサ、ナガエツルノゲイトウ、ティラピア等の外来生物の拡大が著しく、多くの希少種が姿を消しつつあり、2015年には「江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害の防止に関する条例」が施行され、外来種対策が行われいるが、拡大に対する抜本的な対策が必要とされる。本年度は江津湖を対象に前述3種の外来種の分布状況と分布拡大に寄与する要因を評価した。その結果、ナガエツルノゲイトウは水際線の約33%を占め、ブラジルチドメグサやボタンウキクサを含めると60%に及んだ。また、特にナガエツルノゲイトウが生育する標高は貴重種が生育する標高を含む約2.8~6.0mに及び、さらなる分布拡大が危惧された。最大標高は出水時の水位とほぼ一致しており、江津湖が加勢川の河川膨張湖であるため、出水時の水位上昇が生じやすいことがより高い場所への分布拡大を可能にしたものと考えられた。また、ティラピアに関しては、湖内13地点で採水した試料について環境DNA分析した結果、これまで熊本市により確認されていたナイルティラピア、ジルティラピアに加え、ナイルティラピアとモザンビークティラピアの交雑種であるレッドティラピア(Oreochromis sp. Red tilapia)のDNAが検出された。さらにジルティラピアに着目し江津湖下流の加瀬川及び加勢川に流入する秋津川、木山川、矢形川を含めた25地点の採水試料について環境DNA分析を行った結果、分布が広範囲に及ぶことが明らかになった。特に環境DNA濃度が高かった地点(河川)の水温は12月においても江津湖と同程度の水温を示したエリアにあり、地下水の流入が大きく生息に関与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を統合し、想定される拡大シナリオ、在来種への影響シナリオから分布拡大の負の影響を生じさせる要因を特定する。また、これまでの調査により、外来水草により水温上昇が生じることでティラピアに正の影響が生じていることが推定されたことから、これを定量的に明らかにするための調査及び検証実験を行い、環境要因のみでなく、種間関係にも踏み込んだ外来種の拡大実態を明らかにする。 これらの得られた結果に基づき主に治水のための高水敷掘削や氾濫原依存種保全のためのワンド・たまりにおける外来種侵入しにくい設計手法を提示する。また、分布拡大予測地を特定し、優先的駆除対策を行う地点を提示する。
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Causes of Carryover |
ティラピア、ブラジルチドメグサ・ナガエツルノゲイトウ及び水温との関係性を明らかにするため、用水路における水温ロガーの設置及び現地調査を行う予定であったが、調査地の選定に時間を要したため、H31年度にこれらを実施することとした。そのため次年度使用額に変更が生じたものである。
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Research Products
(2 results)