2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on economic indicators of sustainability accounting for the Planetary Boundaries
Project/Area Number |
17K00677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成田 大樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50746485)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境経済学 / 自然資本 / リスク・不確実性 / プラネタリー・バウンダリーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では特にリスク・不確実性の扱いに焦点を置きつつ、プラネタリー・バウンダリーズ概念と資本アプローチに基づく持続可能指標の統合を検討することを目的とし、リスク分析を応用した概念的な経済数学モデルの構築及び数値計算を実施することとしている。これについて一般的な概念の検討を進めるとともに、具体的な事例の分析を通じつつ理論・方法論上の洞察を得ること等を目的として以下を実施した。(1)自然資本の価値定量の事例として、エチオピアの森林の自然資本としての貨幣換算価値の定量化を行い、論文にまとめた。論文では、自然資本を通常の金融投資と同様に「配当」相当分と「キャピタルゲイン」相当分に分解し価値定量化するFenichel et al. (2016)の枠組みを応用している。(2)不確実な気候変動を前提とした気候変動適応対策の経済価値評価をケニアの灌漑プロジェクトを事例に実施した。分析においては、不確実性下における経済的意思決定を評価するための位置手法であるRDM法(Lempert and Collins, 2007)を応用している。(3)プラネタリー・バウンダリーズの一要素であるエアロゾル問題について、タイを事例として科学的・政策的知見をまとめた論文を執筆した。(4)プラネタリー・バウンダリーズのまた別の一要素である海洋酸性化に関するリスク評価を含める経済評価について、ドイツ・キール大学の研究者(Prof. K. Rehdanz)ら共に研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
事業開始直後に研究代表者(実質上唯一のプロジェクトメンバー)の他大学への転任があり、転任に直接関係する業務への対応、また新ポスト着任後に新たに実施することとなった教育・学内管理業務への対応のため本事業に時間が割けず、進捗が大幅に遅れることとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
もう一年度分の事業の延長も選択肢として考慮しつつ、なるべく所期の目的を速やかに達成するため研究を進めていく予定。
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Causes of Carryover |
別欄に記載した理由による事業全体の進捗の遅れを反映して支出についても遅れが生じている。事業期間の延長も選択肢として視野に入れつつも、研究についてなるべく速やかに実施を図るとともにそれに伴う支出も行っていく予定。
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