2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on economic indicators of sustainability accounting for the Planetary Boundaries
Project/Area Number |
17K00677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成田 大樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50746485)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境経済学 / リスク・不確実性 / プラネタリー・バウンダリーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では特にリスク・不確実性の扱いに焦点を置きつつ、プラネタリー・バウンダリーズ概念と資本アプローチに基づく持続可能指標の統合を検討することを目的とし、リスク分析を応用した概念的な経済数学モデルの構築及び数値計算を実施することとしている。この趣旨を踏まえつつ、具体的なケースを対象とした検討のうち研究の目に見える(論文化された)実績として2021年度に上げられたものは次の通り。(1)気候変動はプラネタリー・バウンダリーズの主要な構成要素であるが、今後必要性が全世界的に高まると思われる気候変動適応については、気候変動影響の不確実性を踏まえた経済評価手法に関して確立されたものがまだ存在しない。本研究の一環として、不確実性下における経済的意思決定を評価するための手法であるRDM(Robust Decision Making)法を応用し、気候変動適応対策の経済価値評価をケニアの灌漑プロジェクトを事例に実施した。成果をジャーナル論文として出版した。(2)同じく気候変動に関して、現在その緩和対策として全世界的に再生可能エネルギー利用の促進が図られているが、再生可能エネルギーは価格や出力の安定性に乏しい(高いリスク・不確実性にさらされている)という特性がある。そのようなリスク・不確実性の条件下で再生可能エネルギー利用の促進政策としてどのようなものが望ましいのか経済モデルを用いた分析を行い、ジャーナル論文として出版した。上記(1)と(2)はいずれも環境問題が関係するリスク・不確実性下における経済行動の価値評価に関するものであり、本研究の問いに対し理論的知見を提供するものである。
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