2020 Fiscal Year Research-status Report
歴史的造形資源の造形データの取得・保存・活用に基づく持続可能な地域活性化デザイン
Project/Area Number |
17K00709
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
植田 憲 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40344965)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デザイン / 地域資源 / 地域振興 / 地方創生 / 文化財 / デジタル造形技術 / 歴史的造形資源 / 3D |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域社会が有する歴史的造形資源を地域活性に資する材として認識・活用することで、持続可能な地域活性化を図るためのデザイン手法を導出することを目的としたものである。具体的には、歴史的造形資源を2D/3Dデジタル造形技術を駆使してデジタル化しアーカイブを構築することに加え、地域社会の各種機関や生活者らとの協働に基づき、生活者がそれらを共有するシステムを導出することで、生活者が担い手となった内発的地方創生の促進を目指した。なお、主な対象地域を、申請者が所属する千葉大学が位置する千葉県とし、特に、今日、当該地域において生活者の関心の及ばぬうちに潜在化する傾向にある木彫、織物・染物等を取り上げた。 2020年度にあっては、2017~2019年度に引き続き、館山市立博物館に収蔵されている同市大井の手力雄神社の神輿の飾り彫刻の3D取得・保存ならびに活用提案などを行った。特に、コロナ禍において歴史的造形資源を活用し地域学習を行う「おうちミュージアム」との連携の可能性などを見出すことができたことは有意義であった。このように、本研究においては、当初の計画通り、千葉県南房総市に位置する小松寺を代表とする各種寺院、南房総市役所、館山市役所、館山市立郷土資料館らの協力に基づき実施するとともに、加えて、神奈川県川崎市における歴史的造形資源についてもデジタル化と活用を試みることとなった。 また、取得したデジタルデータの多様な活用の模索については、上述の関係各機関の担当者らとの協働に基づく試行・協議を行っており、これらを通して、「地方創生」が叫ばれる今日、ますますの地域社会の自立・自律が求められる地域社会において有効な手立てとなる手応えが得られている。 上述の成果に基づき、持続可能な地域活性化を図るためのデザイン手法を導出する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」にも記したように、2020年度においては、コロナ禍のなか、2017~2019年度に引き続き「歴史的造形資源の2D/3Dデジタルデータ取得」ならびに「歴史的造形資源のデジタルデータの利活用を含めた利点の明確化」に資する各種活動を可能な限り行った。また、「歴史的造形資源のデジタルデータの特質に基づく整理とアーカイブの作成」については、稼働モデルの改善を行っている。当初計画していた以上に研究協力者からの反響が大きく、その実施の範囲が予想以上に広がっているといえる。 当初計画していた「デジタルデータの利活用を含めた利点の明確化」については議論が進んでいる。しかしながら、年度末に、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延のため、感染防止の観点から、いくつかの活動を中止・延期をせざるを得ない状況となり最終評価ができていない。 地域社会における歴史的造形資源の造形データの取得・保存ならびに活用が当該地域の内発的活性化にいかに寄与するかについての最終評価は、2020年度に地域の生活者らと情報共有した上でアンケートや聞き取りにより行い、報告書、投稿論文として公表していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度にあっては、2017~2020年度において実施した千葉県を中心とした「歴史的造形資源の2D/3Dデジタルデータ取得」ならびに「デジタルデータの利活用を含めた利点の明確化」「歴史的造形資源のデジタルデータの特質に基づく整理とアーカイブの作成」に資する各種活動の成果を踏まえ、そららの評価を行い、「アーカイブ化のあり方、今日のものづくりへの創造的展開のあり方の議論」「報告書の作成・研究結果の公表」について推進する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた「デジタルデータの利活用を含めた利点の明確化」については議論が進んでいるものの、2019年度末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延のため、感染防止の観点からいくつかの活動を中止・延期をせざるを得ない状況となり、それが2020年度においても続いたことから最終評価ができていない。 地域社会における歴史的造形資源の造形データの取得・保存ならびに活用が当該地域の内発的活性化にいかに寄与するかについての最終評価は、2021年度に地域の生活者らと情報共有した上でアンケートや聞き取りにより行い、報告書、投稿論文として公表していきたい。
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