2018 Fiscal Year Research-status Report
グルテンフリー米粉パンの物性を制御するオリゴ糖と酵素併用効果の解明
Project/Area Number |
17K00822
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊藤 聖子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (70466506)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 米粉パン / グルテンフリー |
Outline of Annual Research Achievements |
グルテンフリー米粉パンの製パン品質について、オリゴ糖と澱粉分解酵素酵素(α―アミラーゼ、β-アミラーゼ)および細胞壁多糖分解酵素(ペクチナーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ)との併用による、生地の発酵および膨化試験を行い、発酵中の生地体積は増加するが、焼成中に気泡が合一してクラムに空洞が生じやすいオリゴ糖と酵素の組合せがあることが確認できた。また、酵素添加の有無によって、テクスチャー変化に影響するオリゴ糖と酵素の併用効果が示唆された。 今年度は、各オリゴ糖置換ならびに各酵素添加生地の粘度を、回転式粘度計を用いて粘度特性を解析し、生地の膨化に及ぼす影響を検討した。また、パンクラムに含まれる澱粉の糊化度測定と遊離糖分析から、焼成後のテクスチャーへの影響について検討した。この時、酵素の添加量は前年度の結果から、0.01%添加が適当として実験を行った。 澱粉分解酵素の場合、α-アミラーゼよりβ-アミラーゼ添加パンの比容積が大きくなる傾向はあったが、いずれも生地粘度がコントロール(オリゴ糖および酵素無添加)より低下し、保存によるクラムのテクスチャー変化の改善には至らないと考えられた。一方、細胞壁多糖分解酵素の中でもペクチナーゼ系酵素の添加は、オリゴ糖との併用によって生地粘度が低下することなく発酵中の膨化が促進され、比容積がコントロールより大きく、2日間保存したクラムのテクスチャーもコントロールより有意にやわらかくなることが示された。また、クラムの糊化度の保持率も、他の酵素添加パンより高い傾向が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生地の発酵特性と膨化試験の結果から、グルテンフリー米粉パンのテクスチャーに及ぼすオリゴ糖および糖質分解酵素の選抜ができ、これまでの研究計画はおおむね順調と考えている。また、クラムの空洞化やきめの細かさの違いから、焼成中に気泡が合一しやすい生地状態と、気泡を包括したまま伸展し膨化できる生地となるオリゴ糖と酵素の組合せを推測できた。さらに、パンクラムの糖質分析や糊化度の測定から、米粉の澱粉に及ぼす影響を考察し、最終年度の実験と解析は十分に行なえると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、テクスチャー改変メカニズムを明らかにするため、パンクラムに含まれる澱粉の解析を酵素添加の有無で比較する。また、きめの細かさの違いを明確にするため、クラムの画像から単位面積あたりの気孔数および気孔面積を解析すると同時に、7段階評点法等による官能評価を行い、テクスチャー解析結果との相関を考察する。以上のことから、酵素による分解特性とオリゴ糖併用の効果について検討する。
|
Research Products
(1 results)