2017 Fiscal Year Research-status Report
Physical properties and chewing / swallowing characteristics of the gel foods contained a fibrous texture
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17K00828
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 智子 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (10364861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 裕子 (岩崎裕子) 日本大学短期大学部, その他部局等, 助教 (60511194)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気泡混合ゲル / 気泡の空隙率 / 密度 / テクスチャー特性 / 破断特性 / 嚥下筋電位測定 / 官能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲルに気泡を分散させた含泡ゲルは、咀嚼・嚥下機能が低下した高齢者の咀嚼が容易になるとして介護食への応用が期待される。本研究では、卵白ゲルに気泡を分散させた市販食品を含泡ゲル試料とし、一方、比較試料としての気泡を含まない泡除去ゲル試料は、含泡ゲル試料に手動撹拌を加えることで気泡を除去したものとした。含泡ゲル試料の気泡の空隙率は、20℃で体積の7.05±2.08%、10℃で体積の8.52±2.53%であった。いずれの評価試料も測定品温を20±2℃および10±2℃とした。圧縮率を変えたテクスチャー特性の硬さは、品温20℃の泡除去ゲル試料が有意に軟らかく、凝集性が大きいことが示された。破断特性の結果より、いずれの測定品温においてもヤング率は含泡ゲル試料が泡除去ゲル試料に比べ大きい傾向を示した。ばね緩和法による流動特性より求められた降伏応力は、いずれの測定品温においても含泡ゲル試料が泡除去ゲル試料に比べ大きい傾向を示した。以上の結果より、気泡を含む含泡ゲル試料が泡除去ゲル試料に比べ、弾性的挙動を示すことがわかった。若年健常者をパネルとした官能評価より、品温20℃の泡除去ゲル試料が、20℃含泡ゲル試料に比べ有意にべたつき感があり、口中の残留感も大であることが認められた。また、官能評価と同じ被験者による嚥下時舌骨上筋群筋電位測定の結果、官能評価でべたつき感があり、口中の残留感も大きかった品温20℃泡除去ゲル試料の筋活動量は有意に大きく、一方、べたつき感、残留感が少なかった品温20℃含泡ゲル試料の筋活動量は有意に小さいことが示された。一方、品温10℃の含泡ゲル試料と泡除去ゲル試料との間に、官能評価、嚥下時筋電位測定結果において有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、卵白を用いた冷凍市販エスプーマゲル状食品を解凍したものを試料とし、気泡混合ゲルと気泡を含まないゲル試料の物理的特性の測定方法を確立することが第一の達成目標 であった。また、人の食べやすさの測定方法の確立も目標であった。気泡混合ゲル試料と気泡を含まないゲル試料の物理的特性を明確に表すことができるパラメータは、密度、密度より求められる気泡の空隙率、破断特性において弾性要素を示すヤング率、低ひずみ領域より得られた降伏応力であることがわかった。また、気泡の分散状態を光学顕微鏡を用いて観察することで気泡の大きさ、分散状態を把握できることがわかった。人の食べやすさの評価として、分析型官能評価、嚥下状態の評価として舌骨上筋群筋活動の測定が有効であることが示された。現在進行中であり、研究実績の概要には示していないが、寒天、ゼラチン、ジェランガムをゲル化剤として調製したゲルに、亜酸化窒素ガス気泡を調理器具エスプーマにより分散させ、卵白ゲルを用いない含泡ゲル試料の調製実験を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は平成29年度より引き続き、ゲル化剤とその添加濃度を変えて基本ゲルの調製、および基本ゲルに亜酸化窒素ガスの気泡を分散させた含泡ゲルを調製を試みる。一方、卵白に亜酸化窒素ガスの気泡を予め分散させたものを基本ゲルに混合した卵白含泡ゲル試料の調製方法も確立する。ゲル化剤単体含泡ゲルと卵白含泡ゲルについて、平成29年度で物理的特性、および人の食べやすさを表すことができるパラメータとして有効であるとされた項目の測定を行う。また、平成30年度は舌圧計を購入予定である。本年度行う人の食べやすさの評価の被験者は、予め舌圧計を用いて口蓋と舌が接触する際の舌圧を測定することにより被験者を分類し、舌圧と食べやすさの評価の関係について検討する。ゲル化剤単体含泡ゲル、卵白含泡ゲルの食べやすさを評価後、食べやすいと評価された含泡ゲルの連続層に、高齢者が食べにくい食品である肉(豚肉)、根菜類であるごぼうのペーストにしたものを加えた介護食の調製を試みる。
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Causes of Carryover |
前年度から本年度への繰り越し金は、主に実験補助員の賃金として使用したいと思う。実験内容が本年度、増加するので、勤務日数を増やすためである。
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