2018 Fiscal Year Research-status Report
Physical properties and chewing / swallowing characteristics of the gel foods contained a fibrous texture
Project/Area Number |
17K00828
|
Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 智子 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (10364861)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 裕子 (岩崎裕子) 日本大学短期大学部, その他部局等, 助教 (60511194)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 気泡混合ゲル / 気泡含有率 / ゲルの密度 / ひずみ-応力曲線 / 気泡の分散状態 / リング法による広がり係数 / 嚥下時筋電位測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲル化剤としてネイティブ型ジェランガムを用い、添加濃度が0.4、0.5、0.6%(w/w)の基本ゲルを調製した。これらの基本ゲルに、エスプーマアドバンスで亜酸化窒素ガスを封入し、気泡混合ゲルを調製した。基本ゲル、および気泡混合ゲルの密度、気泡含有率、光学顕微鏡による気泡の分散状態の観察、圧縮測定によるひずみと応力の関係、広がり係数(リング法)の測定を行った。気泡混合ゲルは基本ゲルに比べ、密度が有意に小さくなった。また、基本ゲル、気泡混合ゲルの密度にジェランガム添加濃度の影響は認められなかった。気泡混合ゲルの気泡含有率は、0.4%気泡混合ゲルで33.9±5.5%、0.5%気泡混合ゲルで37.3±6.0%、0.6%気泡混合ゲルで32.7±5.4%となり、有意差は認められなかった。ゲルに分散している気泡長径の平均は0.4%気泡混合ゲルで(8.79±2.83)×10^2μm、0.5%気泡混合ゲルで(9.63±4.62)×10^2μm、0.6%気泡混合ゲルで(7.99±3.65)×10^2μmとなった。ひずみ-応力曲線より、基本ゲルは脆性破断を示し、一方、気泡混合ゲルは明確な破断点が認められなかった。初期弾性率は気泡混合ゲルが基本ゲルに比べ、有意に小さくなった。基本ゲル、気泡混合ゲルともに分散媒のジェランガム濃度が大きくなるに従い、初期弾性率は大きくなった。広がり係数は、いずれのジェランガム濃度においても、気泡混合ゲルが基本ゲルに比べ、有意に小さいものとなった。ジェランガム濃度が異なる基本ゲル、気泡混合ゲルについて、嚥下時筋電位測定を行った。その結果、気泡混合ゲルは基本ゲルに比べ、食塊形成時間が有意に短いことが認められた。以上より、ジェランガムゲルに気泡を分散させることで、口中で食塊形成がしやすくなることが示され、気泡混合ジェランガムゲルの嚥下食へ応用が可能になることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度はジェランガムゲルに気泡を混合した気泡混合ゲルの調製、および物理的特性やヒトによる嚥下時筋電位測定等の評価を中心に行った。亜酸化窒素ガスの気泡をゲル中に均一な状態で長時間安定して保持できるゲル化剤の選定、調製時の温度管理などの調製方法を決定するところで、多くの時間を費やしてしまった。計画よりも遅くなってしまったが平成30年度に行うべき繊維状組織を有する根菜類のごぼうや豚肉を混合した試料調製の確立について、現在検討している。まず、根菜類のごぼうについて気泡混合ゲルの調製方法を検討しているが、実験を続けるうちに、さらに検討したい研究課題が生じている。例えば、ゲル中に含まれるごぼうの粒度を変えることで、食べやすさはどう変わるのか。また、フレーバーリリースはかわるのかなど興味深い問題点が続出している。また、市販介護食品として冷凍流通後、解凍して用いる場合はどのように物理的特性や嚥下特性が変化するのかなど、実験課題を加える必要があると考える。現在、検討中の気泡混合ゲル状介護食品が市販品として一般に流通できるよう、可能な限りデータを蓄積していきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は繊維状食品を含む気泡混合ゲルの調製工程を確立する。繊維状気泡混合ゲル状食品について、若年者を被験者として、飲み込みやすさを嚥下時筋電位測定により検討する。また、特別養護老人ホームの管理栄養士とともに、高齢者による食べやすさの評価を行う。以上が本年度、大筋の検討課題である。一旦ここで止めて、これまでの研究結果を研究分担者とともに振り返り、再実験の必要性を確認する。時間に余裕がある場合、加えてゲル中に気泡が存在することにより、ゲルに含まれる繊維状食品のフレーバーリリースがどのように変化するかについても検討したい。また、繊維状食品をペースト状にする際の粒度を変化させた場合の食べやすさへの影響も検討したい。
|
Causes of Carryover |
2018年度研究遅延のため、ヒトによる試料の充分な評価ができなかった。次年度使用額としての246,108円は、主に官能評価等のヒトによる評価被験者への謝金、実験補助員の人件費として使用したいと考える。加えて、研究成果学会発表参加に対する旅費、参加費に使用したいと考える。
|