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2020 Fiscal Year Research-status Report

食生活の西洋化は体内システイン量への影響を介して生体機能を左右するか?

Research Project

Project/Area Number 17K00925
Research InstitutionKanagawa University of Human Services

Principal Investigator

山西 倫太郎  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (30253206)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 向井 友花  神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (60331211)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywordsグルタチオン / システイン / メチオニン / マウス摂食実験
Outline of Annual Research Achievements

今年度は研究の最終年度として、抗酸化性システイン(以下Cys)化合物であるグルタチオン(以下GSH)の抗原提示細胞(以下APC)内量ならびにそれに呼応する免疫応答変化に対する食生活の影響を解析する目的で実験を計画した。BALB/cマウスに、標準脂肪試験食(ただし、餌中のCys量は削減。また、体内におけるCys合成の影響を抑えるため、それに必要なビタミンB6量も削減し、ホモシステインからのメチオニン(以下Met)合成を高めることによりCys合成への回流量を減らすと考えられるビタミンB12と葉酸を過剰に添加している)と、それにラードを添加した高脂肪試験食の2種類の試験食に対して、それぞれにアミノ酸無添加 or Cys添加 or Met添加の計6群を設け、オボアルブミン(OVA)を抗原として免疫した後、血清に含まれる抗OVA IgE抗体価・抗OVA IgG抗体価、また同じマウスより採取した脾臓APC(プラスチック付着細胞として採集)のGSH量や、その細胞内に存在し活性中心にCysを有するため酸化還元に感受性のあるCys-カテプシンの活性等を測定する予定であった。しかし、研究を開始してすぐ、新型コロナウイルス感染症パンデミックが深刻な事態となって、研究代表者の所属機関である大学も学生の登校が禁止される等、ほぼ施設閉鎖状態となってマウス摂食実験を継続できなくなった。このような事態を想定していなかったので臨機応変な対応が取れず、研究をまったく進められなかった。そのため、特例としての研究期間延長を申請した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

初年度のマウス摂食実験において、食餌たんぱく質量やビタミンB6量が脾臓APCに含まれるGSH量に正の相関的な影響を及ぼすことを示した。低たんぱく質かつ低ビタミンB6食にCysを添加した場合、腎細胞においてGSH量は回復したが、Met添加の場合は逆に減少した。高脂肪食の比較的長期間の摂取の場合は、肝臓GSH量が低下した。二年度目のマウス摂食実験により、和食の特徴を持つ飼料(高Cys、低脂肪)は、Cys供給量の増大を介して生体内酸化ストレスを軽減することを示唆した。一方、西洋化食の特徴を持つ飼料(高Met、高脂肪)は和食の特徴を持つ飼料と比較して、Cys供給量減少に起因する酸化ストレスの亢進、脂質代謝異常、糖代謝異常を引き起こす傾向にあることを示した。
引き続く最終年度は、本研究課題のまとめとして、食生活がもたらす細胞内GSH量への干渉が、結果として細胞機能や生体の生理活性へどのような影響をもたらすかを評価する研究を計画した。2020年度卒業研究のために配属した卒論生に対して、練習実験により手技の向上を図っていたところへ、新型コロナ感染症パンデミックが深刻な状況となり、上述のごとく研究遂行が不可能な状況に陥ってしまい、本年度に限り研究自体の進捗はまったく無かった。よって、特例としての期間延長を申請した次第である。ただし、これまでの研究成果を、研究分担者と研究代表者の連名で、「飼料の含硫アミノ酸の違いがマウスの酸化ストレスに及ぼす影響」との演題名で、2020年度に開かれた第67回日本栄養改善学会で公表することが出来たので、本科研費での研究成果を世に知らしめるという面では成果があった。

Strategy for Future Research Activity

“研究実績の概要”に示した昨年度に予定していた実験を行うことを考えていた。しかし、あらたに変異型の新型コロナウイルスの脅威に曝されている現下、今後の状況も予断を許さない。研究代表者の所属機関である大学では、学生に対して引き続き在宅での学習を推奨しており、学生が研究施設でしかできないマウス飼育等の実験を実施するのは、極めて困難である。これは、研究申請時には予想もしなかったことである。しかし、このような状況が継続するようであっても、昨年度と同じ事態に陥らないような手立てを講じる必要がある。そこで、緊急措置として、マウス飼育よりも人手をセーブすることが出来、研究の中断・再開が容易な“培養細胞を使った研究”に切り替えることにより研究費を有意義に遣い切ることも考えている。培養細胞実験により完全に同じ内容を行うことは出来ないが、「APC内のGSH量に対する食品成分の影響を検討する」という大きな括りにおいては予定されていた研究と同じ目的のものであり、過去に科研費基盤(C)25504006で助成を受けた課題を、さらに発展させた研究を行うことが適当であると思われる。具体的には、食品成分のビタミンA物質であるレチノールが培養マクロファージ等のAPC内GSH産生ひいてはAPC内の抗酸化性に及ぼす影響等を解明したい。なお、研究申請時には予定していなかったことだが、その細胞培養のために研究補助員を雇用したい(前述の理由により、卒論生の貢献が難しいかもしれないので)。世界的パンデミックにおける臨機応変な対処として、やむを得ない措置である。

Causes of Carryover

<理由>新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等に伴うもの。
<使用計画>この残額を研究資金として充当し、今後の推進方策に示した研究を研究代表者が実施することにより遣い切りたいと考えている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 飼料の含硫アミノ酸の違いがマウスの酸化ストレスに及ぼす影響2020

    • Author(s)
      向井友花、山西倫太郎
    • Organizer
      日本栄養改善学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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