2018 Fiscal Year Research-status Report
実験計画を容易に行うことができる実験教材の開発と教員養成への活用
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17K00962
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
宮内 卓也 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 准教授 (60791663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モデル化 / 理科 / 中学校 / 実験計画 / イオン / ダニエル電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は中学校第二学年を対象としたスチールウールの燃焼の授業実践から得たワークシートの分析を行うとともに、木炭の燃焼の授業実践との比較を試みた。定型化したモデルを使用して生徒に課題や仮説を見いださせ、実験の計画を記述させたところ多くの生徒が筋道を立てて、実験を計画することができることが示された。さらに、木炭の燃焼の授業実践との比較により、同様の実践をスパイラルで実施することにより、記述の一貫性という点で、記述の質的な向上が顕著に見られることが明らかになった。この成果の一部は、日本理科教育学会全国大会における口頭発表、「松原静郎編著『理科における持続発展教材と定型モデル化学習の実践-資質・能力の向上を目指して-』桐蔭横浜大学出版会」において広く発表した。 高校3年生を対象としたスチールウールの燃焼の授業実践においても、定型化したモデルは有効にはたらいたが、中学校2年生とは既習の知識が大きく異なり、実験計画への迫り方が大きく異なるため、練り直しが必要な部分も見られた。対象生徒に応じた指導者の見通しが大切であることが示唆された。 さらに、本年度は平成29年に告示された学習指導要領で大きな変更があった「化学変化と電池」の単元について、「金属のイオンへのなりやすさ」、「ダニエル電池」の教材を開発するとともに探究的な活動を位置づけた単元を構想し、公立中学校の試行的な実践を行った。現在、その分析をすすめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル構築の基本項目を用いて実験を計画する活動では、昨年度の成果で学級の2/3程度の生徒が自分の考えから筋道を立てて実験の計画を立てることができたが、本年度の実践において、同様の活動をスパイラルで実践したした場合、高いレベルの記述をしていた生徒はそのレベルを維持し、多くの生徒に記述の質的な向上が見られることが明らかになった。特に、1回目では十分な成果が得られなかった生徒も、同様の指導を繰り返し行うことで向上が見られたことは、意義がある。 本年度は実験計画を含んだ探究的な活動を実現する単元として、平成29年に告示された学習指導要領で大きく変更がみられた「化学変化と電池」に注目し、教材開発および単元の構想を行い、公立中学校で試行的な実践を行い、探究的な活動を行うことができる見通しをたてることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「化学変化と電池」についての授業の構想及び試行的な実践を通して、探究的な活動を取り入れる見通しがたったので、今後も本単元に視点を当て、生徒の記述の分析等をすすめていきたい。また、実践の成果を学部及び教職大学院の指導に取り入れ、その意義を検討したい。
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Causes of Carryover |
研究会に参加した協力者の旅費について、その出席状況により、当初に予定していた額よりも少額となったため。次年度は、主に協力者の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)