2021 Fiscal Year Research-status Report
生徒主体型学習に有用なマイクロスケール実験教材の開発と改良
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17K00991
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
中川 徹夫 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (70312866)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロスケール実験 / 理科教育 / 化学教育 / 生徒主体型学習 / 教材開発 / 教材改良 / ペットボトルのキャップ / 手作りウェルプレート |
Outline of Annual Research Achievements |
日本理科教育学会第71回全国大会、The 2021 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies(Pacifichem2021)、日本化学会第102春季年会等にZoomによるオンラインで参加して、講演予稿集や口頭・ポスター発表の内容より、マイクロスケール実験(MSE)や生徒主体型学習に関する資料や最新情報を入手した。また、化学と教育、School Science Review、Journal of Chemical Educationなどの学術雑誌より、研究に必要な情報収集に努めた。 2020年度に引き続き、2021年度もその大部分が新型コロナウイルス感染防止対策に追われ、従来の研究時間の確保が極めて困難であった。そのような中で、昨年度の継続としてコロナ禍におけるマイクロスケール実験手法の開発・改良に従事した。2020年度に提案したペットボトルのキャップと白板紙製容器から作製したマイクロスケール実験用の手作りウェルプレートに関する研究成果をもとに、論文"Low-cost handmade well plates for microscale experiments"を執筆し、School Science Reviewに発表した。 続いて、Zoomで実施する遠隔授業でも対応できる方法に関しても模索した。具体的には、コハク酸、マレイン酸とフマル酸の物性(分子の極性の有無、水に対する溶解度等)や反応性(炭酸水素ナトリウムとの反応、金属マグネシウムとの反応等)の共通点と相違点に着目して、手作りウェルプレートを使用した実験教材を開発した。成果の一部は、日本教科教育学会第47回全国大会で発表した。そして、実際に高校生を対象としたZoomによる遠隔授業を実施し、教材としての有用性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度もその大部分が新型コロナウイルス感染防止対策に追われ、従来の研究時間の確保が極めて困難であった。勤務校の授業形態も、緊急事態宣言の発令とともに急遽対面から遠隔への変更が余儀なくされ、その対応に膨大な時間を費やしたため、とても通常の研究活動まで手が回らなかったのが現状である。 2020年度は、研究代表者関係の学会や国際会議が中止となった。2021年度は一部再開されたもののその全てがZoomによるオンラインで実施され、対面で開催されたものは皆無であった。そのため、学会・国際会議関連で予定していた出張が全て中止となり、当初の研究計画を遂行するのが困難となった。 そのような困難な状況下であるにもかかわらず、これまでの成果をまとめ論文"Low-cost handmade well plates for microscale experiments"をSchool Science Reviewに発表できたことは、大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による研究遅延のため、研究期間を1年間延長した。とりわけ、交付申請書に記載した2020年度、2021年度の研究のうち、十分に取り組むことができなかった学会や国際会議における研究成果の発表や、研究冊子等の発行を行う予定である。2021年度に関しては、Zoomで参加した学会もあったが、対面でないため、研究成果の討議や情報交換については、極めて不十分であった。この点を、通常の対面形式の学会や国際会議に参加して、補填する予定である。 コロナ禍による生徒を対象とした教育実践も十分には実施できていない。今年度、これまで開発・改良したマイクロスケール実験教材をもとに、研究代表者や研究協力者が、高校生を対象とした対面授業を実施する予定である。なお、今後のコロナウイルスの感染状況にもよるが、対面授業が困難な場合と判断される場合には、Zoomによる遠隔授業も視野に入れて検討したい。
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Causes of Carryover |
2021年度は、研究関連の学会や国際会議が一部再開されたものの、その全てがZoomによるオンラインで実施され、対面で開催されたものは皆無であった。そのため、学会・国際会議参加のための出張旅費が執行できなかったことが、主たる理由である。また、コロナ禍によりマイクロスケール実験教材の開発・改良を中断したことにより、物品費が一部執行できなかったことも理由としてあげられる。 2022年度は、対面形式の学会等に出席し、必要な旅費を執行し、マイクロスケール実験教材の開発・改良に関しても再開するため、必要な物品費も執行する予定である。
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