2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development and improvement of useful teaching materials on microscale experiments for student-oriented learning
Project/Area Number |
17K00991
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
中川 徹夫 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (70312866)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロスケール実験 / 理科教育 / 化学教育 / 生徒主体型学習 / 教材開発 / 教材改良 / ペットボトルのキャップ / 手作りウェルプレート |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主として中川が開発したペットボトルのキャップと白板紙容器から作製した手作りウェルプレートを用いて、新規に高校化学で扱われるアルカリ土類金属炭酸塩(MgCO3, CaCO3, SrCO3)および硫酸塩(MgSO4, CaSO4, SrSO4)の沈殿生成反応に関するマイクロスケール実験教材を開発した。高校化学の教科書では、新規に化学反応に伴うエンタルピー変化やエントロピー変化が本文中で、ギブズエネルギー変化が発展の項目で扱われるようになった。そこで今回はこれらの炭酸塩や硫酸塩の沈殿生成反応に伴うギブズエネルギー変化の符号に着目した。符号が負の場合は自発変化が生じ、正の場合は生じない。まず文献値を用いてギブズエネルギーを算出したところ、MgSO4の場合のみ正となり、これ以外についてはすべて負になった。続いてマイクロスケール実験により検証したところ、MgSO4の場合を除きすべて白色沈殿が生成した。つまり、ギブズエネルギーから予想される結果が実験結果と見事に一致した。このように今回開発した実験教材は、実験結果がギブズエネルギー変化の符号から説明できるため、生徒が主体的に化学変化の学習に取り組む際にも有用であると考えられる。今回の研究成果のうち、ギブズエネルギーの符号と実験結果の比較に関する内容を日本化学会第104春季年会で、ギブズエネルギーから算出した反応進行度より、反応の不可逆性に関する内容を日本理科教育学会オンライン全国大会で発表した。 上述の教材以外に、研究期間には高校化学に関するマレイン酸とフマル酸の共通点と相違点に関する新規教材を開発し、酢酸とアンモニアの平衡移動に関する教材を改良した。これらはいずれも生徒個人で使用できる。研究期間中に高校生と対象とした模擬授業も複数回実施しており、生徒からもわかりやすい教材であるとの感想が得られ、有用性が確認できた。
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