2019 Fiscal Year Research-status Report
ESDが目指す価値観形成のためのものづくり教育プラットホームの創出
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17K01035
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
大内 毅 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40346838)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 組立分解 / 実習題材 / ESD |
Outline of Annual Research Achievements |
組立・分解を意図した実習題材を中学校技術科の授業に導入することを主な目的として,手加工で一度に径の異なる2つの穴あけ加工を可能とする専用工具として,2段錐を考案開発した。また,板材を固定するための専用の固定冶具を開発したことにより,接合する板材の固定と2段錐の正確な進入が可能となり,中学生にとって容易で,しかも安全な加工が可能となった。さらに,キャップボルトに替わる新たな接合具として,キャップ木ねじを開発し,性能試験を行った結果,キャップ木ねじ接合の際に生じるトルクとスラストは,キャップボルトと比較して,ほとんど差は認められず,引張荷重はキャップボルトよりも大きく,最大で約2kNを示すことから,低トルクで高保持力であることが明らかとなった。 考案開発した2段錐,固定冶具およびキャップ木ねじの有効性を検証するために,実際に公立中学校において,それらを用いて検討した組立・分解型実習題材を製作する授業実践を行い,授業後にアンケート調査を行った。得られた主な結果として,組立・分解型実習題材を導入した学習プログラムによって,授業時数の短縮化が可能であることや,製作実習においては,生徒に体験的にESDについて考えさせることが可能であることが明らかとなった。組立・分解型実習題材を検討したことによって,生徒に使用目的や機能・構造について考えさせることができるようになり,製作後においても,実際に組立・分解をすることによって,使用目的の変更に対応可能であることを理解させることができた。本研究で考案開発した2段錐、固定冶具およびキャップ木ねじを用いて製作する場合,中学生にとって比較的容易で,しかも安全に製作できることが明らかとなった。また,製作実習では,生徒が体験的に環境に配慮した製品づくりや持続可能な社会などについて理解を深めることができると判断できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたように,専用工具として,2段錐と板材を固定することを主な目的とした専用の固定冶具を考案開発したことにより,接合する板材の固定と2段錐の正確な進入が可能となった。この固定冶具を用いることで中学生にとって容易で,しかも安全な下穴加工が可能となり,実習題材の開発ができた。さらに,教育的な有効性を検証するための授業実践を行えたことから(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに考案開発した2段錐、固定冶具およびキャップ木ねじを用いて製作する実習題材について,教育委員会と連携して実施する中学校技術科教員研修会においてヒアリングを行い,学習プログラムを含めて最適化を図る。得られた成果から,ものづくり教育プラットホームの有効性について検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症発生のため,予定されていた学会やセミナーが全て中止となった。そのため,次年度に改めて,これまでの成果を発表する計画である。
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