2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K01038
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
比嘉 俊 琉球大学, 教育学研究科, 准教授 (30780390)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 外来生物 / 持続可能社会 / 学校教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの文献によると,沖縄県では多様な経緯で外来生物が移入されてきた。特筆すべきのは,学校教員が持ち込んだ教材(オオヒキガエル)が離島の外来生物となり,被害を与えたことであった。野外調査では,多種の外来生物が確認できた。近年,外来生物としてペットの拡散が目立っており,特に淡水域ではそれが顕著に表れていた。また,沖縄県北部地域では,ノイヌノネコが多く見られ,フィールド調査中に,捕食のためヤンバルクイナを追いかけるノネコに遭遇した。 沖縄県立総合教育センターの長期研修生の生物教育の研究報告書179点を精査すると,外来生物が登場したのは2点のみであった。この2点も外来生物をメインとして扱った研究ではない。教員の外来生物に対する意識の低さが垣間見られた。 メダカとカダヤシを15匹ずつ水槽内で混合飼育した結果,メダカは4か月で絶滅した。この実験では,メダカのひれがかじられる等のカダヤシの攻撃性の高さが確認できた。 西表島では,島民が環境省の自然保護官と協力し,外来生物の駆除に努めていた。その成果として,カエル類の早期駆除に成功していた。他方,フィールドでは外来植物が確認された。 外来生物を教材とした理科授業を中学校で行うと,生徒は生徒なりの外来生物対策を提案した。この提案は個人でできることと社会でできること多様であった。しかし,経費的に実現が厳しい提案もあった。中学生は外来生物の命も大切にしており,外来生物を倫理的に扱う必要性も出た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
西表島調査では環境省自然保護官事務所で現状の聞き取りと野外調査におけるルートセンサス法で外来生物調査を実施した。 室内におけるカダヤシとメダカの混合飼育実験も環境省への申請通りに終了した。他方,爬虫類の混合飼育実験も計画していたが,飼育施設が大学の規定基準を満たしていないため,実施できなかった。未実施の部分は先の魚類の実験データで補い,教材を作成する。 また,沖縄県の外来生物の歴史的調査も現段階ではある程度進んでいる。しかし,この調査が外来生物の移入経緯などの把握を全て網羅しているか疑問の余地があり,今後も文献調査を続ける。 他方,年度計画より進んでいる部分もある。沖縄県の教員がこれまで授業で外来生物をどの様に扱ってきたかということ。まだ,これまでの成果を踏まえ,中学校で外来生物を教材とした理科授業を施行した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画の通り,沖縄島北部地域での外来生物の調査を行う。そこでは,外来生物と在来生物の種間競争を記録する。さらに,この地域のノイヌとノネコの被害を重点的に行う。その理由は外来生物と化したペットは教材として有効と判断するからである。また,西表島では外来生物対策の継続調査と在来生物の確認調査を行なう。 視点を変えて,外来生物の農作物への被害も教材のために調査する。農作物へ多大なる被害を与える昆虫類をここではターゲットとする。沖縄県農業研究センターでの取材から外来の昆虫類の教材化を目指す。 日本の公教育で外来生物がどのように扱われているかを調査するため小学校・中学校・高等学校の学習指導要領と小学校生活科・小学校理科・中学校理科・高等学校生物のすべての教科書を精査する。 各種調査結果を元に,外来生物の施行授業を小学校と中学校でうち,児童生徒のワークシートから教材への考察を入れ,教材の検討と授業案を練り直す。 昨年度成果の一部とこれからの研究成果を学会口頭発表,論文での紙面発表を3つ程度ノルマとする。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,ビデオカメラと望遠レンズを購入していないためである。平成29年度の研究では,大学の講座のビデオカメラを借用した。次年度使用分は,平成30年度にビデオカメラを購入する予定である。
|
Research Products
(1 results)