2017 Fiscal Year Research-status Report
本格的天体観測画像を活用したアクティブラーニングプログラムの発展開発
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17K01066
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
洞口 俊博 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 研究主幹 (00238768)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 科学教育 / 天文 / 宇宙物理 / 光学赤外線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学生や高校生だけでなく大学生や大人も含めた「理科離れ」、自然を認識する力や認識しようとする心の衰えは、科学リテラシーの低下にもつながり、社会的にも大きな問題となっている。本科研費では、学習者が主体的に、そしてお互いに対話することによって問題の本質を捉え理解を深める、アクティブラーニングの手法を用いた学習プログラムの開発を目指す。内容は宇宙を対象としているが、物理、数学やICT等の教育にも資することが期待される。世界最先端の本格的な研究観測画像など、我々がこれまでに開発した教材の資産を活用し、学習者の知的探究心を刺激して目的意識をもった深い学習に導くことができるような学習プログラムの開発を行う。 初年度の今年は、恒星の進化に関する学習プログラムの開発に向けて、まず星の等級と明るさに関するプログラムの開発を行った。恒星の進化は、その質量によって速度が異なり、同時に生まれた恒星の集団である星団を構成する星を調べることによって、そのようすを知ることができる。さまざまな年齢の星団を調べ、その共通点や相違点を各自が見出すことによって、恒星の進化を主体的に学ぶことが可能になるが、星の等級と明るさはその理解のいちばんの基礎となるからである。またそれにあわせて、天体画像の測定を通した学習に必須となる画像解析ソフトの基本的な使い方、およびそれを用いた天体の大きさの測り方に関する学習プログラムの開発も行った。これらについては学生および教育関係者を対象に試行、評価を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の恒星の進化に関する学習プログラムについては進行が若干遅れ気味であるが、基礎的な概念の学習プログラムについては計画以上の進展があり、理解の土台となる部分を充実させることができた。これらの作業は、連携研究者や研究協力者とともに、電子メールやネットワーク会議システム等を活用しつつ、適宜会合を開いて進められた。学校教員や天文普及活動を行っている市民を対象としたワークショップを開催し、今後の試行や評価についても方法が確立されつつあるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の開発プログラムを土台として、恒星の進化に関する学習プログラムだけでなく、惑星、恒星、銀河など、さまざまな階層の天体をテーマとした学習プログラムについても開発を進める。また、すばる望遠鏡の新型広視野カメラを用いた国立天文台の市民天文学チームとも連携を進める。それらは講習会やワークショップを通して評価、改良をはかるとともに、インターネット等を通して広く普及を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 年度の後半に購入を予定していた観測機材と同種のものが別途入手できることとなったため。 (使用計画) 次年度の助成金とあわせて、学習プログラムの開発、評価に必要なワークショップ、講習会等の旅費に使用する。
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Research Products
(2 results)