2017 Fiscal Year Research-status Report
ロックフェラー財団と日本統治下朝鮮・台湾における医学研究
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17K01189
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
松田 利彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50252408)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植民地医学 / 志賀潔 / 公衆衛生 / 京城帝国大学 / ロックフェラー / 水島治夫 / 赤十字 |
Outline of Annual Research Achievements |
成果発表としては、2017年11月、Bochum Korean Studies Lecture Seriesとして、本研究の成果を、「Kiyoshi Shiga as a Medical Scholar and Public Health Reform in Colonial Korea(医学者志賀潔と植民地朝鮮における医療改革)」(East Asian Department, Ruhl Universtet Bochum(Bochum, ドイツ))として行った。 このほか、関連成果発表として、2017年10月に、国際研究集会「植民地帝国日本における知と権力」を国際日本文化研究センター(京都市)にて企画・開催した。同月、天津賽象酒店(中華人民共和国天津市)にて「日本における「国際日本研究」」(東アジア日本研究者協議会第2回大会)、同年12月に慶煕大学校文科大学(ソウル市)で「日本における'帝国史'研究の現況と課題[発表原タイトル及び発表言語は韓国語]」などを行った。また、『なぜ国際日本研究なのか』(晃洋書房、2018年3月)を編纂した。 資料調査としては、2017年11月ドイツに出張し、プロイセン文書館、森鴎外記念館、ボッフム大学図書館、シュパイアーハウス、フランクフルト市史研究所、ハイデルベルグ大学文書館などで、日本人医学者のドイツ留学記録、志賀潔のドイツでの発表論文などの資料調査を行った。このほか、海外では、国家図書館、国立台湾図書館、中央研究院台湾史研究所(以上、台湾。2017年4月)、韓国国会図書館、国立中央図書館、ソウル大学校中央図書館(以上、韓国。2017年6月、12月)、国内では、順天堂大学日本医学教育歴史館、東京大学総合図書館、国会図書館、国文学研究資料館、茨城県歴史館、藤浪鑑史跡、京都大学人文科学研究所、京都府立医科大学などで調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)平成28~29年度、勤務先の執行部となり、組織改革の責任を負わねばならない立場となり、行政的職務に大きく時間を割かれた。平成30年度より執行部を離れたので、これまでの研究成果を論文等にまとめていく計画である。 2)謝金アルバイトにより、植民地期朝鮮の衛生関係資料の整理を進めていたが、担当者の体調不良、家庭の事情などにより計画通りに資料整理を終了させることが出来なかった。他に適任者を探すのも困難であるので、担当者の事情を考慮しながら作業を再開させ、可能ならば平成30年度前半に旧年度の資料整理を完了させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の資料調査として特に重点を置きたいのは、アメリカ西海岸での調査である(平成30年12月を予定)。フーバー研究所所蔵のR.L.ウィルバー文書(Register of the Ray Lyman Wilbur papers) は、京城帝国大学医学部での公衆衛生教育体制改革のため、1926年に朝鮮を訪問したロックフェラー財団幹部の文書であり、本研究の骨子となる資料が所蔵されている可能性が大きい。アメリカ西海岸では、アジア関係のコレクションで知られるカリフォルニア大学バークレー校図書館も訪問する。国内では、特に戦前の医学専門学校時代からの資料を所蔵している長崎大学医学部、岩手医科大学を未訪問なので調査を行う。その他、韓国の韓国国会図書館、高麗大学図書館、大韓赤十字社などが調査対象予定になっている。 成果発表としては、論文「志賀潔とロックフェラー財団―京城帝国大学医学部長時代の植民地朝鮮の医療衛生改革構想を中心に」を含む、拙編『植民地帝国日本における知と権力』(仮題、思文閣出版)の刊行が内定しており編集作業を進めている。また、論文「「武断政治期」朝鮮の憲兵警察と衛生行政」(仮題)、Public Health Reform in Colonial Korea (仮題)を準備中である。
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Causes of Carryover |
謝金アルバイトにより、植民地期朝鮮の衛生関係資料の整理を進めていたが、担当者の体調不良、家庭の事情などにより計画通りに資料整理を終了させることが出来ず、残金が生じた。同資料整理については、2018年5~6月に完了させる予定である。
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Research Products
(9 results)