2018 Fiscal Year Research-status Report
ロックフェラー財団と日本統治下朝鮮・台湾における医学研究
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17K01189
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
松田 利彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50252408)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植民地医学 / 志賀潔 / ロックフェラー財団 / 水島治夫 / 公衆衛生 / 京城帝国大学 / セブランス医学専門学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
松田編『(国際研究集会報告書)植民地帝国日本における知と権力』(国際日本文化研究センター、2018年)を公刊した。また、松田編『植民地帝国日本における知と権力』(思文閣出版、2019年)の刊行を果たした。同書では「「知と権力」から見た植民地帝国―朝鮮史研究における成果と課題」を通じ植民地帝国日本における知と権力の問題群を編者なりに提示することにつとめ、本研究課題の一応の到達点として「志賀潔とロックフェラー財団―京城帝国大学医学部長時代の植民地朝鮮の医療衛生改革構想を中心に」を発表した。 関連論文として、「統治機構と官僚・警察・軍隊」(日本植民地研究会編『日本植民地研究の論点』岩波書店)、「戦時期植民地朝鮮における防空体制の形成―警防団を中心に」(『歴史評論』第820号)、「‘武断統治期’朝鮮の憲兵警察と衛生行政―衛生組合を中心に[原論文は韓国語]」(韓国歴史研究会3・1運動100周年企画委員会編『3・1運動100周年叢書』第3巻、ヒューマニスト)を公刊した。また「植民地朝鮮における東京帝国大学の学知―服部宇之吉と京城帝国大学の創設をめぐって」(東京大学GJS「東京学派」研究第1回ワークショップ、東京大学東洋文化研究所)ほかの口頭発表を行った。 本年度の資料調査では、アメリカ西海岸(カリフォルニア大学バークレー校C.V.Starr Library、スタンフォード大学フーバー研究所、ミネソタ大学図書館など)で、ロックフェラー財団理事および京城帝国大学関係者の関連記録などの調査を行った。トロントのカナダ合同教会アーカイブズで、北米宣教師の書簡を調査した。このほか、海外では韓医学博物館、韓国国会図書館、国立中央図書館(以上、韓国。2018年4月、6月、12月)、国内では、防衛省戦史資料室、岩手医科大学、野口英世記念館、東京大学明治新聞雑誌文庫、東北大学医学図書館などで調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に研究成果として発表した松田編『(国際研究集会報告書)植民地帝国日本における知と権力』(国際日本文化研究センター、2018年)松田編『植民地帝国日本における知と権力』(思文閣出版、2019年)によって、いったん本研究課題の到達点を提示しえたと考えている。すでに口頭発表している研究の英文雑誌での発表や、新資料による新たな研究テーマの方向付けにも目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年に韓国で口頭発表した「植民地朝鮮における公衆衛生学のある系譜」(国際日本文化研究センター共同研究「植民地帝国日本における知と権力」の一環として行った翰林大学校日本学研究所との共催シンポジウム)を英文雑誌で発表する準備を進めている。これをはじめ、最終年度である2019年度には順次研究成果を口頭発表や論文として公にする。また、植民地における日本赤十字の活動や植民地朝鮮における北米長老派宣教師の活動など、この間の研究で副次的に生じてきた新たな研究テーマについてもまとめていきたいと考えている。
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Remarks |
国際日本文化研究センター・研究部・松田利彦 http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s026/index.html
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Research Products
(12 results)