2019 Fiscal Year Research-status Report
A taxonomic and biodersity informatics study on Lepidoptera: towards the development of an advanced publishing system related to taxonomy
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17K01217
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
神保 宇嗣 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (10568281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物分類学 / 生物多様性情報 / DNAバーコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の活動として、サブテーマ1の分類学的研究およびそれに基づくデータ蓄積については、ひき続き、国内での野外調査や他研究者からの標本提供等によりサンプルを収集し、データベース化の基盤構築に努めた。DNAバーコード情報の集積については、バーコード領域全体の決定が難しい標本について、部分配列を決定するためのプライマーに加えプライマーを新規に設計し、できる限り塩基配列を決定するワークフローの確立に努めた。また、DNAバーコード情報だけでは識別のできないハイジロハマキ属について形態での再検討を行い、その問題点について学会で発表を行った。
サブテーマ2の生物種情報の高度化とその活用については、30年度に実施した名寄せによるクリーニングをガ類でも実施した。その結果、種数が多い蛾類でも、チョウ類と同様に、和名中心のアプローチで大半の種名を名寄せ可能なことがわかった。これらの手法、およびチョウ類とガ類の傾向の違いについて学会にて発表を行った。種情報データベースについては、30年度までに実施した、1) 種情報に関する標準形式の検討、2) 種名リンクのための連携に必要なリソースIDの特定、に、 3) 上記種名に関する問題とその解決手法、を加え、最近の動向を踏まえた再レビューを行った。その成果を、1) 汎用の種情報データベース構築に必要な要件、2) 特定分野(本研究では、鱗翅類およびその対象リソース)固有の問題点と情報蓄積のワークフロー、3) 種名問題改善の方法論、に分けて整理した。1), 2) の結果をもとに、初期の目的である種情報データベースの設計を進めた。30年度に実施したBINなどIDの網羅的データについて、日本産のチョウ類およびガ類の最新の種名目録(本研究とは別のプロジェクトで実施)とのリンクを試みた。なお 3) は、本研究の対象外であり、別に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サブテーマ2の種情報データベースのプロトタイプシステム構築について、種名情報による問題が大きく、現状分析と設計検討が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ1については、元年度にDNAバーコードにより解析を実施した種群について分類学的な研究を進め、できるだけ成果として公表する。また、DNAバーコード情報を含めた標本情報の公開にも務める。特に、標本写真のようなマルチメディア情報を集積し、サブテーマ2の種情報データベースで利用できる形でまとめあげる。追加サンプルを取得するための野外調査が、新型コロナウイルスの流行の影響で難しい可能性がある。このため、できるだけ既存の標本で可能な範囲でまとめるように努める。
サブテーマ2については、種名の名寄せによるクリーニング手法とその成果をまとめて発表する。また、これまでのサブテーマ2に関する研究成果を総括し、種情報データベースのプロトタイプシステムの構築を行い、既存の鱗翅類に関するリソース・種名名寄せによって作成できた全国の博物館標本データ・サブテーマ1で作成した追加データを利用した評価版の公開を進める。
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Causes of Carryover |
サブテーマ2において、標準化した種情報形式に基づく情報発信を実施するためのデータベースシステム構築およびデータ充実が未だ不十分な状況にある。そこで、システム構築およびデータ整備を進め、論文等による成果公開を進めることで、当初目的のよりよい達成を行うため。
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