2020 Fiscal Year Research-status Report
バブル崩壊の予測とバブル崩壊がマクロ経済に与える影響の研究
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17K01270
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
海蔵寺 大成 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10265960)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バブル / バブル崩壊 / 企業のファンダメンタルズ / リーマンショック / マクロテイルリスク / 粒状仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gabaix(2011)が提唱したGranular仮説が株式市場においても成立しているかどうかを前年に引きつづき検証した。 まず、本研究課題で開発した企業のファンダメンタルズを計測する計量モデルを基礎に、株式時価総額を説明するパネル回帰モデルを開発し、企業のファンダメンタルズを反映する適正な株式時価総額を計算した。次に、株式時価総額の適正な株式時価総額からの乖離を企業レベルのショック変数(Granular residual)とみなし、世界市場全体の株式時価総額の変動を被説明変数として上位企業の企業ショックを説明変数とする残差回帰分析を行った。 分析の結果、(1)世界経済における時価総額のうち,上位100社の時価総額が占める割合が大きい(平均で約50%)。(2)時価総額の成長率の変動の約70%は、株式時価総額の上位100社の企業ショックによって説明できることがわかった。同様に、総株式時価総額に対する総営業利益の割合(Price Sales Ratio)と総株式時価総額に対する総純資産(Price Book Ratio)の変化率を被説明変数にするGranular 回帰を行ったところ、これらの変動の80%以上を株式時価総額の上位100社の企業ショックによって説明できることがわかった。 この研究を通じて、株式市場において、Gabaix(2011)が提唱したGranular仮説が株式市場においても成立していることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な目的は、株式市場におけるバブルとバブル崩壊を予測するモデルを構築し、バブル崩壊を定量的に予測すること、さらに、バブル崩壊が企業収益などに与える影響を分析することである。本年度までの研究を通じて、特に、バブル崩壊を予測するモデルを構築することができたと考えており、本研究課題の目的をほぼ達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果は、Granular Hypothesis on Stock Marketというタイトルで論文作成に取り掛かっており、来年度に向けて出版の準備を進めている。また、バブル崩壊がマクロ経済に与える影響を、これまでに構築したモデルを利用してさらに分析する予定である。
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Causes of Carryover |
Professor Enrico Scalas (University of Sussex)との共同研究実施のため、英国に渡航予定だったが、コロナ禍で渡航が難しくなったため。2021年夏にコロナ感染が収束し、状況が許せばUniversity of Sussexに滞在し共同研究を実施する予定である。また、国際会議に出席し研究報告を行う予定である。
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