2017 Fiscal Year Research-status Report
装着型ロボットの転倒時アシストの可能性およびそれによる転倒リスク軽減効果の評価
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17K01293
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋山 靖博 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00610536)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 機械安全 / 装着型ロボット / 歩行アシスト / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
装着型ロボット使用中の転倒はその危害リスクの高さから対策が求められている.現在では装着型ロボットに内在する転倒要因が転倒リスクに与える影響の評価も十分に行われておらず,その分析が急がれる.本研究では,ロボット装着による動作拘束下における装着者の挙動を実地に計測し,動作戦略およびその性能の定量化を行い,人間の転倒回避のメカニズムをより詳細に解明する.また,転倒リスク低減につながる機構要素・アシストパターン等を特定し転倒防止方策の開発を行う. これまで,転倒模擬実験システムを用い,装着型ロボットによる動作拘束が転倒回避動作に与える影響を計測した.具体的には,免荷装置,プロテクター等により被験者の安全が確保された実験環境内で,歩行中に転倒のきっかけを与え,その後の転倒回避動作を計測した.つまずき発生時にアシストパターンを変化させることで装着者の転倒回避動作を改善することを目的としてアルゴリズムを開発し,試験を行った.その際の結果は,装着者の反応動作のばらつきにより安定的な転倒アシストには課題を残すものとなった. また,股関節矢状面外自由度拘束時の旋回動作を計測し,非装着時の自然な旋回動作における関節動作範囲と比較することにより,関節自由度拘束による歩容の変化およびそれによるバランスが悪化するメカニズムを考察した.さらに,この結果に基づき装着型ロボットにおける目標関節動作範囲を定め,股関節動作自由度拡張機構を開発,実装した.実験により計測された動作は,自由度拡張により歩容が自然な歩行に近づくことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度計画で予定されていた,転倒模擬実験システムを用いた装着型ロボットによる動作拘束が転倒回避動作に与える影響の計測を実施した.具体的には,免荷装置,プロテクター等により被験者の安全が確保された実験環境内で,歩行中につまずきを含む非定常動作を行わせ,その際の運動を計測した.試作した転倒アシストを用いて転倒実験を行い,その動作を検証した. また,装着者の自然な動作における関節動作範囲の実現を目標とした,股関節自由度拡張機構の開発を行った.股関節においては,横に足を出す・大腿をひねるといった動作が観察されているため,内外旋自由度を実装した. 開発した機構を搭載した装着型ロボットを用いて行った旋回動作の計測により,旋回時の歩容および歩行バランスへの影響が観察された.
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Strategy for Future Research Activity |
転倒回避動作時には通常時と異なる動作パターンによる急激な動作が求められるため,通常歩行時とは異なるアシストが求められる.具体的には装着者の体幹支持トルクの補助や,脚の振り出し動作の補助等があるが,一方でそうした動作は個人差が大きく,状況によっても動作戦略が大きく変化するため,動作の推定が非常に困難である.そのため,多くの戦略に共通する代表的な動作パターンを特定し,その際に要求されるアシストを優先的に実装する.次に,特定の戦略をアシストしながら他の動作戦略を妨害しないパターンを対象にする. 転倒時の能動的な反応は一般に100-200 ms程度でみられ,ロボットが転倒を検知するまでの遅れ時間が発生する.そのため,そうした転倒アシストは転倒現象の検出可能時間ごと異なる戦略を想定し,整理する. 次に,自由度拡張と転倒アシストを実装した改良型装着型ロボットについて,転倒模擬実験システムを用いて動作検証を行う.特に,複数の転倒条件において動作妨害発生確率・程度および転倒リスクを定量化し,非装着時・既存ロボット装着時との比較を行うことで,転倒回避・防御性能の評価を行い,転倒対策の有効性を検証する.
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