2017 Fiscal Year Research-status Report
水害防護対策工の信頼性向上のための大規模水害シミュレータの開発
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17K01334
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 聖三 筑波大学, システム情報系, 助教 (10439557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 慎介 八戸工業大学, 工学部, 講師 (00748808)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 津波伝播解析 / Discontinuous Galerkin法 / VOF法 / 質量保存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は津波伝播解析,河川氾濫解析を行うための3次元自由表面流れ解析手法の精度を向上させるため,Discontinuous Galerkin法に基づく解析手法の構築を行った.界面捕捉法に基づくVOF法では,界面を定義するVOF関数に関する移流方程式を解くことになるが,この移流方程式の解析精度が水面形状,位置の精度に影響を及ぼす.精度が悪い場合には,津波遡上域の評価精度が低くなってしまうことはもちろんのこと,流況そのものを表現できない.この移流方程式の高精度解法として,安定化有限要素法に基づくSUPG法があるが,体積保存性に問題があり,このことは水域の評価に問題があった.そこで,本年度の研究では界面捕捉法における移流方程式の解法にDiscontinuous Galerkin法を用いる手法を構築し,その適用性と安定性,質量保存性の観点から検討を行った.結果として,局所的な質量保存を満足するDiscontinuous Galerkin法を用いた方法は,領域全体での質量保存性も高く,体積補正手法を用いたSUPG法で問題となっていた質量保存の問題を解決することができた.また,解析精度に関してもSUPG法と同等の解析結果を得ることができている.さらなる解析精度の向上方法として,高次要素を用いたり,局所的に解析メッシュの解像度を上げるAdaptive法の導入が挙げられる.要素ごとに独立した変数と補間関数を用いるDiscontinuous Galerkin法はこれらの高精度化手法の導入が容易であり,今後,検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,界面捕捉法による津波伝播解析手法の高精度化のみを考慮していたが,浸水域の評価に大きく影響を及ぼす質量保存性に関する問題が存在することがわかった.そのため,高精度化手法として検討することとしていたDiscontinuous Galerkin法による解析手法の検討を先んじて行うこととした.前述の質量保存性に対する検討が加わったため,若干の遅れとなっているが,当初計画においてもDiscontinuous Galerkin法の導入を予定していたため,研究全体の遂行状況としての影響は少ないと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては,まず3次元の津波伝播解析,氾濫解析を行うための自由表面流れ解析コードの高精度化を行う.これには本年度の研究成果であるDiscontinuous Galerkin法に基づく方法を用い,局所的にメッシュ解像度を向上させたり,補間関数の次数を上げるAdaptive法による方法を検討する.同時に,この3次元自由表面流れ解析コードの開発方針に即したメッシュ再構築手法の開発を行う.
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Causes of Carryover |
購入予定であったデスクトップPCが販売時期による価格低下があり,若干の差額が生じた.差額分は次年度へ繰越し,計算機システム購入に伴う記憶装置(HDD)の購入費として使用する.
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