2019 Fiscal Year Annual Research Report
Three Dimensional and co-culture model for Vascular metastasis of cancer
Project/Area Number |
17K01375
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
片岡 則之 日本大学, 工学部, 教授 (20250681)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ガン転移 / 3次元培養 / 骨組織 / 石灰化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ガン細胞の一種であるメラノーマ細胞が骨組織での転移の際、どのような挙動を示すか、ガン骨転移3次元培養モデルの構築を行い、実際に顕微鏡観察下で挙動解析を行った。本研究では、ガンの骨転移モデルを作製するため、骨芽細胞様株化細胞(MC3T3-E1)を長期間培養して石灰化させ、石灰化基質の作製を試みた。MC3T3-E1の培養は、回転振とう培養装置を用いて3週間、あるいは6週間培養を行い、今回は6週間の培養によって石灰化を実現した。そこに転移性の高い悪性黒色腫であるガン細胞(MEWO)を播種し、ガンの骨転移モデルでの観察を行った。 MC3T3-E1を骨分化培養液(アスコルビン酸,ハイドロコルチゾン,β‐グリセロフォスフェート)を添加し、6週間以上、培養を行なって石灰化が確認された群のみ、MEWOの組織内への浸潤が観察された。MC3T3-E1に骨分化培養液を添加して培養を行なっても、3週間程度の培養、すなわち石灰化が生じていない群では、MEWOの組織内への浸潤は観察されなかった。顕微鏡でMEWOの実時間挙動解析を行ったところ、石灰化したMC3T3-E1に接着後、平均で165μm移動し、移動速度は2.08μm/minであった。移動方向は完全にランダムであった。骨組織は肺や肝臓とともにガン転移が高頻度に起こる臓器として知られている。今回の結果から、骨芽細胞から骨細胞への分化時に細胞・組織から分泌される何らかの因子が癌の転移を誘導している可能が考えられる。
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