2018 Fiscal Year Research-status Report
ラット廃用性関節拘縮・筋萎縮モデルにおける疼痛関連物質発現に関する研究
Project/Area Number |
17K01451
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中川 敬夫 金沢大学, 保健学系, 教授 (40217675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正二 金沢大学, 保健学系, 助教 (70422657)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラット / 廃用 / 関節拘縮 / 筋萎縮 / 疼痛 / Semaphorin 3A |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットに逆行性神経トレーサーであるFluorogold(FG)を右足関節内に、1,1’-dioctadecyl-3,3,3’,3’-tetramethyl-indocarbocyanine perchlorate (DiI)を右ヒラメ筋膜下に注入し、7日後に蛍光顕微鏡下に足関節とヒラメ筋に分布する髄節・神経根レベルおよび血管周囲神経を確認した。次に、ラットでの関節拘縮・筋萎縮・関節症モデルにおいてvon Frey testによる痛覚過敏の評価法を確立した。本モデルでは、損傷1週間より、痛覚過敏が誘発され、さらに3週間以降も、痛覚過敏が増強した。続いて、若年ラット(8週齢)を用いた本モデルに対しストレッチ、運動療法、温熱療法など各種理学療法手技を加え、von Frey testにて測定した痛覚閾値と神経・筋・関節組織における痛覚関連物質の発現パターンとの相関を検討した。痛覚関連物質として、カルシトニン遺伝子関連ペプチド (calcitonin gene-related peptide, CGRP)、サブスタンスP(Sub-P)、グルタミン酸受容体、グルタミン酸トランスポーター、血管作動性腸ペプチド(vasoactive intestinal peptide, VIP)、一酸化窒素合成酵素 (NOS)、ソマトスタチン、ニューロペプチドY、インターロイキン1β (IL-1β)、腫瘍壊死因子α (TNFα)、インターフェロンγ (IFNγ)、Macrophage inflammatory p rotein-1α (MIP-1α)、Nerve Growth Factor(NGF)をRT-PCR、Western blotting、免疫組織学にて測定した。これらのうち、 CGRP、Sub-P、NGFをラットの下肢関節・筋・血管周囲神経に認めていたが、理学療法手技による痛覚閾値の変化と有意な相関を示したものはなかった。そのため、新規疼痛関連物質を検索したところ、神経伸長阻害因子の一つであるSemaphorin 3Aの発現を関節周囲組織に認め、その分布、発現量について検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年ラット(8週齢)を用いたラット廃用性関節拘縮・筋萎縮モデルに対し各種理学療法手技を加え、痛覚閾値と神経・筋・関節組織における痛覚関連物質の発現パターンとの相関を検討したが、有意な相関を示した痛覚関連物質を見い出せなかった。そこで、神経伸長因子やその阻害因子について検索したところ、Semaphorin 3Aとの関連が示唆される結果が得られ、その確証を得るべく実験を開始したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
若年ラット(8週齢)を用いたラット廃用性関節拘縮・筋萎縮モデルに対し各種理学療法手技を加え、痛覚閾値と神経・筋・関節組織におけるSemaphorin 3A発現との関連を検討する。さらに老年ラット(52週齢)にて、同様の廃用性関節拘縮・筋萎縮モデルを作成し、若年ラットでの研究結果と比較し、廃用性関節拘縮・筋萎縮でのSemaphorin 3A発現に対する加齢の影響を検討する。
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Causes of Carryover |
動物モデル作成およびその解析にあたり、当初予想よりも不成功例が少なかったことと、一部、有意な結果が得られず、予備実験にとどまったため、実験動物にかかる費用および解析に要する試薬代などが当初見込みよりも少なかったため、未使用額が生じた。次年度使用額及び平成31年度助成金については、本実験にかかる実験動物数や試薬代などを増やす必要があるため、その分を次年度に使用する見込みである。
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