2017 Fiscal Year Research-status Report
日本語に適正な補聴器フィッティング法の確立に関する研究
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17K01468
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐野 肇 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80205997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 敦子 北里大学, 医学部, 助手 (20383622)
鈴木 恵子 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (40286381)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 規定選択法 / 補聴効果 / NAL-NL2 / DSLv5 / 日本語 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究Ⅰ:両側中等度感音難聴者で補聴器を1年以上の期間終日装用している人を対象として、補聴器の設定状況および装用効果を評価した。現在研究は継続中であるが、現時点で語音明瞭度曲線による評価で適合と判断された耳は約84%を占めていた。適合耳における補聴器の設定状況を、国際音声信号(65dBSPL)を入力信号とした実耳挿入利得で評価したところ、その平均値は500、1000、2000 Hzにおいてはハーフゲインよりやや小さく、NAL-NL2で計算された値にほぼ一致していた。250および4000HzにおいてはNAL-NL2の計算値よりも小さかった。DSLv5による計算値と比較すると1000、2000Hzではおおむね同じであったが、500Hzにおいては実際の実耳挿入利得の方がやや小さかった。以上の結果より、NAL-NL2およびDSLv5のいずれの方法も、日本語での補聴器フィッティングにおいてもおおむね妥当な方法であるという可能性が示された。
研究Ⅱ:新規の対象に対するNAL-NL2とDSLv5による補聴器処方の日本語における有用性を比較検討するための研究を計画し準備した。対象を2群に分けて処方の順番を変えたクロスオーバーデザインによる比較試験を計画した。補聴器の器種を選定し、4台の試聴用補聴器、イヤーモールド作成用の印象剤を購入した。補聴器装用状況を記録するための記録用紙、補聴効果の自覚的評価のためのAPHAB日本語版の検査用紙を作成した。その上で研究実施計画書を作成し倫理委員会に申請した。現時点では委員会の審議が継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究Ⅰは現在進行中である。これまでに研究に参加した対象症例数は予想していたよりも少なく、最終的にも予定していた症例数よりも少なくなる可能性がある。しかし統計的解析に十分な症例数は得られると考えている。 研究Ⅱは計画段階から実施の段階へと進みつつある。倫理委員会からの許可が得られた後に、実際の実施に向けての詳細な手順を確認して研究を開始する予定。この数か月の内に開始できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では当初の計画通りに研究を進めていく予定。 課題は以下の通り。 研究Ⅰに関しては、参加症例数を増やす必要がある。現時点で非適合の耳数が少ないので、適合耳と非適合耳の比較が困難な状況にある。引き続き対象者に研究参加を募っていく予定。 研究Ⅱでは、新規患者がどの程度処方された設定で装用が可能であるかについて検証が必要になるかもしれない。最初から計算された処方値で装用することが困難である場合には、どの程度制御して装用を開始し、どのようなペースで出力を上げていくことが可能であるかを解析する必要が出てくると思われる。
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Causes of Carryover |
研究Ⅱがまだ開始されていないため、必要な物品費(補聴器、イヤーモールド作成費、質問紙の用紙代や印刷費等)の一部を翌年度に繰り越した。計画に大きな遅れはなく、残った翌年度使用額も大きくない。おおむね当初の計画通りに使用していく予定である。
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