2017 Fiscal Year Research-status Report
高周波非可聴音を含む音楽が認知症高齢者への受動的音楽療法に及ぼす影響の実地研究
Project/Area Number |
17K01473
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
川勝 真喜 東京電機大学, システムデザイン工学部, 准教授 (50297587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和憲 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員(移行) (80470318)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 受動的音楽療法 / 行動・心理症状 / ハイレゾ音源 / ハイパーソニック・エフェクト |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症患者数は増え続け、その医療費も増大している。本研究では20kHz以上の高周波非可聴が生体に影響を与えるハイパーソニック・エフェクトが脳深部の血流量増加や脳波アルファ波の増大をもたらす等の効果があることから、認知症患者の家族が一番困るとされる症状の一つである行動・心理症状の緩和に効果があるのかを検証する。その検証実験を行うために4-5月は調査協力施設の選定と現地調査等を行った。6月から11月にかけて調査協力施設と倫理上の問題等の打ち合わせを実施、さらに詳しい実験計画を策定した。12月に調査協力施設と実験実施の正式な契約を締結し、安全を確保して天井にスピーカを設置し、音響特性を確認した。更に協力施設側で被験者14名を選定してもらい、ご家族への説明、実験参加同意書の作成を行うことで、実験準備を整えた。なお行動・心理症状の評価としては世界的に用いられているNPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いることとした。 協力施設と入所者の皆さんの生活パターンから音楽を聴くのに最適と思われる時間帯を考慮し、音楽を流す時間は午前8時から11時の間と決めた。1回の実験で2週間の間、同時間帯に音楽を流し、この期間の前後にNPIの評価を行った。 2018年1月22日から実験を開始し、第1回を1/22~2/5、第2回を2/19~3/5、第3回を3/19~4/2、第4回を4/16~30として当該施設での実験を完了し、現在データを解析中である。 これらの事と並行して、こうした実験に用いるための音作りを進めている。特に高周波帯域まで録音されている音源は市販品では非常に少ないため、可聴域の音源から超音波成分を準リアルタイムで推定するためのソフトウェアの開発を行った。このソフトウェアで準リアルタイムで作成した音源が本実験に有効かどうかも検証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験協力者の職場の異動があり、当初計画していた施設での実験が困難となり、新たな施設での実験を行うにあたっての協力施設との協議に時間がかかってしまった。そのため、検証実験については当初計画よりもやや遅れている。但し、研究実績の概要にも記述した通り、着実にデータを集めているので今後十分に計画通りの研究を進められると考えている。 また、音作りの面ではCDの音質の音源に準リアルタイムで超音波成分を付加するソフトウェアの開発を行った。これまでの音作りソフトウェアでは最終的に超音波成分と可聴域成分の自然なパワー比を自動で作ることが困難であったが、本ソフトウェアは自動で設定可能である。この事により、これまではこうした実験には限られた音源しか用いることができなかったが、より多くの音源を用いることができる可能性がある。例えば、有線放送にこのソフトウェアを適用することで手軽にこうした実験の環境構築が可能となる。このソフトウェアで作成した音源が本実験に有効かどうかについて検証実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は新たな実験協力施設を探し、実験を行う。実験方法等についてはこれまでと同じとする。新たな実験協力施設を探すことが課題であり、慎重かつ早急に進める。
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Causes of Carryover |
実験協力者の職場の移動があったため、当初計画していた施設での実験が困難となり、新たな施設での実験を行うにあたっての協力施設との協議に時間を要した。そのため、1回分の調査業務の支出が遅れている。 更に、物品購入にあたってはこれまで準備していた装置の使用や、実験に賛同してくれた方からの寄付により購入せずに済んだ装置があったことで、実験装置の購入を遅らせることにした。この事により平成30年度はより良い実験ができると考えている。
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