2018 Fiscal Year Research-status Report
高周波非可聴音を含む音楽が認知症高齢者への受動的音楽療法に及ぼす影響の実地研究
Project/Area Number |
17K01473
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
川勝 真喜 東京電機大学, システムデザイン工学部, 准教授 (50297587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和憲 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員(移行) (80470318)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 受動的音楽療法 / 行動・心理症状 / ハイレゾ音源 / ハイパーソニック・エフェクト |
Outline of Annual Research Achievements |
20kHz以上の高周波非可聴音が豊富に含まれている音楽を聴くと脳深部の血流量増加や脳波アルファ波の増大をもたらす等の効果があると言われる。この聞こえない音が生体に影響を与えることはハイパーソニック・エフェクトと呼ばれる。我々はこの効果が認知症患者の家族が一番困るとされる症状の一つである行動・心理症状の緩和につながるか実験を行っている。2017年度は協力施設で被験者14名を選定してもらい普段の生活の場でBGMとして高周波非可聴音を含む音楽と含まない音楽を聴いてもらう実験を実施した。なお行動・心理症状の評価としては世界的に用いられているNPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いた。この時の結果では高周波非可聴音の有無によって有意な差はみられなかった。原因として、実験期間中のインフルエンザの罹患や音響環境の不十分さが考えられた。 2018年度では実験環境を見直し高周波非可聴音専用のスーパーツイータを増設し、協力施設で新たに被験者11名を選定してもらい2017年度と同様の実験を行った。高周波ありの際となしの際のNPI評価のBGM実施期間の前後差を比較すると高周波ありの方が有意なNPIの低下があった。 この検証実験と並行して、実験に用いるための音作りやよりハイパーソニック・エフェクトが発現しやすい環境を脳波計測により調べることを進めている。可聴域用のスピーカの違いによるアルファ波の変化に差異があること、2017年度に開発した準リアルタイムで高周波非可聴音を付加するソフトウェアではまだ効果が見られない、といった結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度に実験開始が遅れたことに加え、実験期間中にインフルエンザの流行による環境変化があったことなどの影響がまだ残っている。しかしながら、2018年度は慎重に進めたため、順調に実験を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は新たな実験協力施設を探し、実験を行う。実験方法等についてはこれまでと同じとする。新たな実験協力施設を探すことが課題であり、慎重かつ早急に進める。 音作りの面では、独自開発した高周波非可聴音の準リアルタイム付加を可能にするソフトウェアに対して健常被験者を対象とした脳波のアルファ波の増減を基に改善を進める。
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Causes of Carryover |
一昨年度に実験協力者の職場の移動のため、実験開始が遅れたことが影響したこと、物品購入にあたり、以前からあった装置の使用や、装置の寄付により購入せずに済んだこともあり、実験装置の購入を遅らせている。 今後の使用計画は、実験のための装置購入や工事費、さらには脳波の計測装置の購入を予定している。
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